マイクロソフトの大転換
マイクロソフトは、2014年に就任したサティア・ナデラ新CEOのもと、従来のWindows、Office製品のパッケージ販売からクラウドサービスの提供に事業の大転換を進めている。すでに最新版のOS「Windows10」は、既存のWindows7、8.1ユーザーに無償でアップグレードが提供され、順次サービスとしてアップデートされていき、主力のOffice製品についてはクラウド化し、Windowsに加えて、他社製のiOSやアンドロイドへの提供も始めた。
クラウドサービスである「Office 365」は、従来のPC版Office「Word、Excel、PowerPoint」などのダウンロード版アプリケーション(年間契約)と、「Skype for Business」(チャットや音声・ビデオ会議)、「OneDrive for Business」(ファイル共有)などのクラウドアプリを組み合わせた統合ビジネスツールだ。個人契約のライセンスと法人契約があり、法人向けの最新プラン「Office 365 Enterprise E5」では、企業内の内線・外線電話を管理できる「クラウドPBX」も搭載し、クラウドを活用したビジネスコミュニケーション機能をさらに強化している。
Office365は世界各国で利用が広がっているが、日本市場の状況について、Office製品のマーケティングを担当する米国マイクロソフト コーポレーション Officeマーケティンググループゼネラルマネジャーのジーン・クリストフ・ピティエ氏は次のように語る。
「日本のビジネスユーザーの場合、ほとんどのPCには、すでにパッケージ型の『Office』が入っています。ですから、そこからのクラウド版のOffice365にいかに移行していただくかが課題となります」
企業内の共有フォルダには、部門内で重要なデータを共有しているExcelやWordの文書が無数に存在する。仕事の現場では、簡単なグループワークの手段としてこれらの「Excelの共有」が重要テーマでもある。そんなこと簡単にできると言われそうだが、うまく運用するのはなかなか難しい。なので、ついついメールに添付した異なるファイルが飛び交い、グループワークの収拾がつかなくなる。
そうした問題に対して、Office365は有効な解決策となりそうだ。たとえばOffice365の「OneDrive for Business」というサービスを使えば、共有ファイルをWebブラウザを使ってどこからでも更新できるようになる。1つのファイルに対してユーザーが“かち合う”状況でも、データは同時に共同編集することができる。