顕在化しづらい悩みが明らかに
在宅介護者向けSNSはなぜ成功したか

1件あたりの書き込み量は“子育てサイト”の4倍

大王製紙ホーム&パーソナルケア事業部広告宣伝部メディア・WEBコミュニティ課・課長の大原豊さん

――介護に関連したコミュニティは業界初の試み。不安もあったのではないですか。

大原 介護こそ向いていると考えたものの、介護や排泄に関連した話は積極的にオープンにしたいことでもありませんよね。また媒体がインターネットであり、介護者の方々は比較的年齢が高いこともあって、コミュニティを立ち上げても参加してもらえるのかという懸念がありました。そこで「けあのわ」ではエイベック研究所さんの協力を得てテストコミュニティを立ち上げ、「介護」という軸で参加者は発言してくれるのか、どのような投稿テーマが成り立つのかという検証から始めました。

――テストはどれくらいの規模・期間で行いましたか。

寺山 100人弱の実際に介護をしている方を対象にクローズド形式で「アテントミニコミュニティ」を立ち上げました。テスト期間の38日間で6つのテーマを提示しました。本コミュニティの方は、その後、アンケートを行って改良を加え、立ち上げ準備作業を始めてからおよそ2ヵ月後の昨年3月25日に本オープンさせました。

――テストから本番までの期間はずいぶん短いですね。

大王製紙ホーム&パーソナルケア事業部広告宣伝部メディア・WEBコミュニティ課・係長の寺山俊之さん

大原 先ほど「本当に参加してくれるのか」という懸念があったと申し上げましたが、実際にテストコミュニティでは想定以上の発言が集まりました。1件あたりの文字数も「GOO.N MOM(ぐんまむ)」の4倍ものボリュームの書き込みです。リアルな家族や友達、ご近所には話や相談しづらいので、介護という共通項でつながっている匿名の人と話したい、気持ちを出したいという需要があると手応えを得ることができました。また、おむつを使うことへの抵抗感も知ることができ、一つ一つの書き込みにはメーカーとして財産になる言葉がたくさんありました。

山本 介護をされている方の強い思いが伝わってきたので、私も「すぐにやろう」と決断が下せました。こういう話はインターネット上でしないだろうと考えていましたが、私たちの頭が凝り固まっていただけだったんです。そこで、やるなら業界初を目指そうと、エイベック研究所さんに急いでいただきました。

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