ところが優さんは私の言葉を耳に入れるほどの余裕がなかったのでしょうか。ゆっくり丁寧に話すどころか、むしろ口調をますます早め、声をさらに大きく、そして中身はどんどん酷くなるばかりだったのです。

「月10万円の返済。それに4000万円の負債を抱え、家族を失い、わが子の顔も見られないなんて……もう、この先の人生真っ暗ですよ!」

 真っ赤な顔をして、受話器をわなわなと震わせながら、あふれそうな涙をぎりぎりのところで我慢している……優さんが絶対絶命のピンチに立たされていることは私にも察しがついたのですが、みなさんなら優さんの言っていることを理解することができたでしょうか?当時の私には到底無理でした。なぜなら、種馬と多額の借金と毎月の返済、家族離散、そして子どもの行方不明……それらのキーワードの1つ1つをつなぎ合わせ、答えを見つけ出すことができなかったからです。そのため、私はもう1度、優さんに尋ねました。

「今までの経緯、順を追って教えてもらえますか?」

 優さんは少し平静を取り戻したのか、ようやく私にも聞き取れるほどの口振りに戻ります。

「妻とは今から3年前、結婚相談所で知り合いました。僕が高所得だからでしょうか?すぐに相手が見つかりました。5ヵ月の交際を経て、妻の妊娠がわかり、それをきっかけに入籍しました。いわゆる、できちゃった結婚です」

 ここまでの事情は特に物珍しいわけではなく、どこにでもある「ありふれた話」です。強いて言えば、結婚と妊娠の順番が逆というくらいでしょうか?この程度の「ありふれた話」がどうして優さんにとって「声を大にして伝えたい話」なのでしょうか?

妊娠後、豹変した妻
妻子のために4000万のマンションを購入

「妻がおかしくなったのは妊娠してからです。それまでは至って普通だったんですが……」

 優さんは当時のことを振り返ってくれましたが、妊娠がわかった途端に妻の言葉や態度が当然、変わってしまったようですが、具体的にはどんな感じだったのでしょうか?