深刻なサイバーアタックが増加するなか、日本でもインターネットセキュリティのニーズが高まっている。そんなトレンドを睨んで、販路を拡大しようと意気軒昂なのが、セキュリティ・サービスを手がけるITベンダーたちだ。しかし、これまでとは比べ物にならないほど多様化・複雑化した脅威に対抗するためには、従来とは違う包括的な対策が必要となる。「統合セキュリテイ専業ベンダー」として、いち早くトータル・セキュリティに取り組むマカフィー株式会社の畠中常務に、ベンダーが次世代セキュリティビジネスの市場で勝ち残るための心得と、自社の戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)

はたなか・ありみち/マカフィー株式会社営業・マーケティング統括取締役常務執行役員。1952年生まれ。高千穂交易(後のバロース、ユニシス)、タンデムコンピューターズ(後のコンパック)、コマースワン、サンマイクロシステムズ、日本SGIなどで、IT製品のマーケティング業務全般に携わる。2008年マカフィーに入社。09年より現職。

――深刻なサイバーアタックが増加するなか、日本でもインターネットセキュリティへの注目度が高まっている。それに伴い、セキュリティビジネスの盛り上がりが予想される。年初に起きた中国発の「ゼロデイアタック」をはじめ、サイバー攻撃に対するリスク分析などで存在感を示すマカフィーは、日本市場でどのような戦略を考えているのか?

 インターネット上での脅威の高まりにより、最近では企業におけるトータル・セキュリティの需要が高まっている。これまで主流だったアンチウィルスは、あくまでも対策の1つに過ぎない。

 一口にセキュリティと言っても、アンチウィルスのみではなく、ウェブフィルタリング、スパム対策、情報漏洩対策、データの暗号化など、必要な対策は多岐に渡る。それらを全てフォローできなければ、「万全」とは言えない時代になった。

 その流れにいち早く対応できたのが、マカフィーの強みだと思う。現在、アンチウィルスベンダーから「統合セキュリティ専業ベンダー」へと移行している。日本ではまだ、「アンチウィルスの会社」というイメージが強いこともあり、自社の新たな魅力をどうアピールして行くかが、勝ち残っていくためのカギになるだろう。

――「セキュリティ専業ベンダー」とは、どういう意味か?

 競合他社の多くは、セキュリティにデータ管理などのサービスを付加したソリューションを展開しているが、我々はセキュリティ以外のサービスを提供するつもりはない。そのほうが、セキュリティに関わるより深いサービスを提供できるからだ。「セキュリティ専業」とは、そういうポリシーを言い表している。