「異業種CIOセキュリティサミット」に携わった、マカフィーの茂木正之・エンタープライズ営業本部 取締役常務執行役員 本部長。企業のセキュリティニーズが予想外の広がりを見せていることを知り、新たなフェーズを見据えた戦略を模索する。

 深刻なサイバーアタックが増加するなか、日本企業ではインターネットセキュリティのニーズが高まっている。しかし、これまでとは比べ物にならないほど多様化・複雑化したマルウェアなどの脅威に、全ての企業がきちんと対応できているわけではない。

 実際、多くの関連会社や事業部を抱え、ネットワークに何千、何万というデバイスがぶら下がっているグローバル企業にとっては、社内にまともなセキュリティ体制を構築するだけでも至難の業。クラウド時代が本格的に幕を開けようとしている今、「どうしたらもっと効率的な体制を整えられるのか」と、本格的に検討を始めたセキュリティ責任者は多いことだろう。

 そんな気運が高まるなか、去る10月8日に大企業のCIO(企業の情報化戦略を統括する責任者)たちが一同に会し、意見を交わす機会が実現した。それが、クラウド時代のセキュリティに必要な課題を議論するために開催された「異業種CIOセキュリティサミット」である。

 今回は、このサミットの内幕を紹介しながら、増え続ける脅威に対して世の企業がどのような問題意識を持っているのか、そして彼らのニーズに対して、セキュリティベンダーはどのようなソリューションを提供していけばよいのかを、探ってみよう。

旗振り役のマカフィーも驚いた
企業のセキュリティ意識の高まり

 そもそもこのサミットを呼びかけたのは、セキュリティ専業ベンダーのマカフィーである。サミットの旗振り役を務めた同社の茂木正之・エンタープライズ営業本部 取締役常務執行役員 本部長は、「企業のCIOやそれに準ずる立場のセキュリティ担当者が、セキュリティベンダーにどんな解決策を求めているのか、闊達な意見交換を行ないたかった」と、その目的を語る。

 サミットの参加企業は12社、参加した担当者は各社2人の計24名。自動車、電機、精密機械、携帯キャリア、鉄道、航空、機械警備、IT、鑑査法人など、いずれも各業界のトップグループに名を連ねる有名企業の担当者ばかりだ。競合他社が参加すると自社の内情を心置きなく相談しにくいため、マカフィー側は1業界につき1企業しか声をかけなかったという。まさに「異業種のCIO」が集結したわけである。