世界を震撼させた中国発の「ゼロデイアタック」により、個人や企業は深刻なサイバー攻撃の恐怖を深く記憶に刻んだ。今や仮想世界では、このような攻撃が頻発する時代に入っている。そこでますます声高に叫ばれ始めたのが、インターネットセキュリティの重要性だ。世界的な不況をものともせず、2009年度も前年度比2ケタの増収増益を達成したマカフィーは、ゼロデイアタックの際に攻撃の詳細をいち早く解析したことでも存在感を示した。同社の今後の技術戦略を、ジョージ・カーツ・CTO兼エグゼクティブバイスプレジデントに聞いた。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 小尾拓也)
ジョージ・カーツ(George Kurtz)/CTO(チーフテクノロジーオフィサー)兼エグゼクティブ・バイスプレジデントとして、マカフィーで統合セキュリティアーキテクチャならびにプラットフォームの推進を担当している。Ernst&Young社やFoundStone社を経て、マカフィーで法人部門のシニアバイスプレジデント、リスクおよびコンプライアンス事業担当シニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネジャーを歴任、現在に至る。セキュリティ業界で空前のベストセラーとなった共著『クラッキング防衛大全』など、著作物も多数。 |
――1月に発生した中国発の「ゼロデイアタック」では、大規模なサイバー攻撃の深刻さを世界中のユーザーが認識した。これを契機に、今後インターネットセキュリテイの需要はさらに高まっていくだろうか?
「オペレーション・オーロラ」と呼ばれる今回の攻撃により、個人や企業は「いつ深刻なサイバー攻撃を受けるかわからない」という危機意識を持ったと思う。最近は、知的財産や個人情報を盗んで営利目的で利用する深刻な攻撃が頻発している。
今後、セキュリティニーズは、さらに高まって行くだろう。我々が培ってきた技術のノウハウを基に、ビジネスのボリュームを拡大できるチャンスだと思う。
――不特定多数のデータがサーバー上で扱われるクラウド・コンピューティング時代には、ユーザーが脅威に晒されるリスクはさらに増えていく可能性が高い。次世代のセキュリテイ対策として、マカフィーが力を入れている技術はどんなものか?
クラウドベースのプロテクションにより、全てのエンドポイントを包括的に保護していく試みは、もともとマカフィーが競合他社に先駆けて取り組んできたことだ。
マカフィーでは、リアルタイムでハイレベルの脅威インテリジェンスを提供する「MGTI」(McAfee Global Threat Intelligence)という仕組みをベースに、包括的なセキュリティ・ソリューションを提供している。