株価や為替の乱高下で
マイナス金利の政策効果は判断できない

現状、マイナス金利には否定的な論評が多いが……

 日銀は、1月29日、マイナス金利を導入した。その後、株式市場、為替市場は乱高下している。この動きだけを見て、短絡的に、マイナス金利の効果はなかったと断言する向きもある。

 短期的な株価や為替の動きは、基本的には予測不可能なランダムウォークである。思惑の仕掛け売り買いもあるので、これで政策効果は判断できない。

 株価の乱高下が気になる人は、ちょっと長めのデータを見てみよう。以下は、リーマンショック時を100としたほぼ10年分の日米英の株価の推移である。安倍政権以降の回復は顕著であり、英国(FTSE100)の低迷よりはましだろう。

 マイナス金利が世界の株価を下げたように言う向きもあるが、そんな力はない。何より、各国ともに下がっているのは、中国経済の低迷、原油価格の下落など、海外要因による証左である。

 にもかかわらず、マイナス金利には否定的な論評が多い。

 筆者は、この状況を揶揄して、2月3日に次のようなツイートをしたところ、1300を超えるリツイートがあった。この種の堅い話題では珍しい。

 多少言葉が不正確で乱暴なのはご容赦願いたいが、銀行を通して見ると、マイナス金利の意味がよくわかる。テレビなどでは、エコノミストたちが、マイナス金利には弊害もあるとか、もう効果が切れたとかいう批判的な意見ばかりが述べられている。その理由は、エコノミストたちが銀行の子会社にいて、親会社の銀行がマイナス金利を嫌っているからだ。