2015年12月期は過去最大の赤字額となった日本マクドナルド。もし復活できるとしたら?

 日本マクドナルドの2015年12月期通期の連結決算は最終損失が347億円と過去最大の赤字額となったそうだ。

 その発表の1週間ほど前に出された、“日本マクドナルドの1月の既存店客数が33ヵ月ぶりにプラスに転じた”という報道を見ながらふと思ったことは、

「マクドナルドは当分復活できないだろうな」

 ということだった。今回のテーマとは矛盾している?いやそうではない。経済の専門家はマクドナルドの回復には時間がかかると皆思っている。

 そもそもこの復活報道自体が必死に見えてしまう。

 客数が前年同月比で17.4%伸びたといってもその前年同月にあたる2015年1月は複数の店舗でビニール片が混入していたことなどから客数が28.5%落ち込んだ月。計算してみるとわかるがその月と比べて17%増ということは、前々年比(2014年1月と比べて)14%減。ちなみに客単価を上げたので増収は35.0%にもなるというけれど、2014年1月の減収は38.5%だからこれも前々年比で17%減の状態だ。そもそもお店に行ってみれば雰囲気でわかるとおり、以前のようには回復できていない。

 にもかかわらずこういうトーンで復活の兆しがあるという報道に力が入るのはアメリカのマクドナルド本社が日本マクドナルドを売却したいと考えているからだろう。好調じゃなければ買い手も出てこない。でも本当の復活はこういうことを言うのではない。

マクドナルドとソニーに共通する「転落のきっかけ」

 よく似た苦境から完全復活を遂げた会社と比べてみると、ちょっとした類似点がある。クイズっぽく質問させていただくと、ソニーとマクドナルド。転落時点での共通点は何?

「どちらもアメリカ人が経営者だった?」

 近いけど惜しい。私の答えはこう。本質的な共通点は、「どちらもアメリカ的な経営にのめりこんでいたこと」で、それこそが転落のきっかけだと私は考えている。

 アメリカ的経営は、短期的な利益を追うところに欠点がある。私の意見ではなく、これはソニーの創業者の盛田昭夫さんの主張だ。アメリカ的な経営者は四半期毎の利益をどう伸ばすかに力を入れて本質を見誤る。