混乱の根底には世界経済の後退懸念
中国と米国の景気に先行き不透明感

 今回の金融市場混乱の直接のきっかけは、欧州金融市場でドイツ銀行の利払い懸念の噂が出たことだ。しかし、市場混乱の大元の背景には、中国や米国をはじめとする世界経済の後退懸念がある。

 リーマンショック以降、一時期、世界経済を牽引した中国経済の成長力は明らかに低下している。むしろ、胡錦濤政権時代の4兆元の景気対策の後遺症が、過剰設備・過剰債務の格好で重くのしかかっている。

 一人っ子政策による人口構成の変化を考えると、今後、中国経済が再び高成長に復帰することは考え難い。いかに過剰設備・過剰債務に対処し、ソフトランディングの道を見つけるかが課題になる。

 一方、現在でも世界経済の牽引役を果たしている米国経済は、昨年末にかけて景気に減速感が出ている。昨年7〜9月期のGDPが前期対比で2.0%増であるのに対して、10〜12月期は同0.7%に低下している。

 今のところ、労働市場の改善は続いているものの、経済の川上である製造業部門の景況感はやや低下気味だ。それに伴い、FRBの金利引き上げの回数予想は、以前の年4回程度から、1回ないしゼロになる可能性が指摘され始めている。

 その流れを反映して、米国債の流通利回りは既に低下傾向を鮮明化している。米国金利の低下傾向は、為替市場でドル売りを加速する要因の一つにもなっている。足元で一時、ドル全面安の展開になったこともあり、金融市場を一段と不安定化させることに繋がった。

 中国と米国の経済に対する懸念に、今回、欧州の有力銀行の信用不安の懸念が重なった。多額の金融資産を保有する投資家が、後先のことをあまり考えず、ひとまずリスクオフへ走るのは当然のことと言える。