書き手としてこの試みに魅力を感じるのは、「『1行』に出会うすばらしさ」を改めて意識することができたから。毎日、仕事でいろんな本を読み続けていると、知らず知らずのうちに読書のありがたみを忘れかけてしまうことがあります。
でも本の醍醐味って、「その1行」に出会うことにあるのではないでしょうか?
しかもおもしろいのは、そうした「響く部分」は、人によってもまちまちだということです。
著者の意図と読者の好みが合致することもあれば、著者には思いもよらなかった部分に読者が感動することもあります。
「作品が独り歩きする」とはまさにこういう状態ですが、だからこそ余計に、「その1行」との出会いが楽しいものになるのです。
本を読みながら引用リストをつくり、読了したあとに再びリストに目を通したら、その中から「もっともすばらしいと思った引用」を1つだけ選ぶようにしましょう。
「自分がこの本を読んだ価値のすべては、この1行に集約されている」といえるような部分です。
1ライン・サンプリングのリストの中から「これ!」と1つを選び、それに印をつけます。この1行の引用を「1ライン・エッセンス」と呼びます。