スカラ社長 山本正男(撮影:加藤昌人)

「これがあなたのお肌の表面です」。世界各国の化粧品販売員がこのセリフを口にしているとき、その手にはスカラの「ビデオマイクロスコープ」がある。

 はたまた、NASA(米航空宇宙局)はスペースシャトルの表面やエンジンを検査するために、同社のマイクロスコープ「DG‐3X」を17台使用している。

 さらに、2000年に米国サンフランシスコで開催されたMAC WORLD Expoでは、アップルの創業者スティーブ・ジョブズが、珍しくも、自社製品以外の魅力的な周辺機器としてスカラの「USBマイクロスコープ」を紹介した。

 スカラのビデオマイクロスコープは30倍から1000倍まで、あらゆるものの表面を拡大し、リアルタイムの動画像で表示できる。
据置型の電子顕微鏡でも高倍率の拡大が可能だが、対象となる物質を顕微鏡の台に置く必要がある。当然のことながら、化粧品売り場で肌を見ることはできないし、高価な金型の表面なども、切り刻まない限り見ることはできない。

 一方のビデオマイクロスコープは簡単に対象を拡大できるのが魅力。社長の山本正男は、その技術開発に一生を捧げてきた。

マイコンを使った開発がしたくて会社を辞める

 山本は愛知県豊橋市に生まれ、名古屋市の工業高校から専門学校を経て、1965年、日本光電に就職。開発の職に就きながら、東京理科大学に通い、物理学を学ぶ。

 その後心臓の動きや、脳波、胎児の動き、呼吸の速さ、呼気などを計測する機器を開発してきた。

 10年ほどたったとき、転機が訪れる。70年代当時、安価で高性能のマイコンが世に登場しつつあった。山本はどうしてもマイコンを使った医療機器の開発をしたいと意気込んだが、会社はそれを認めなかった。
「完全に若気の至りだった」

 山本は、マイコンを使った医療機器を開発したいばかりに会社を辞めてしまう。
まずは、日本光電時代の先輩が興した会社に参加する。

 当時は、公害問題が叫ばれた時代。「マイコンを使って呼吸を分析する機器はずいぶん売れた」という。そして、87年、今度は山本自身がスカラを興す。

 すぐにライオンの研究所から、肌の荒れを分析できる機器の開発を依頼される。