“震災復縁”で幸せになった人、不幸になった人別居していた夫婦が、震災を機に再び一緒に住み始めた例は多かったが……

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災から来週の金曜(3月11日)でちょうど5年ですね。この5年であなたの価値観や考え方、そして人生観……どのように変わりましたか?

 5年(1825日)の間で否が応にも考えさせられたのは「家族のあり方」です。なぜなら、避難所で家族と再会したり、被災地から家族が避難してきたり、そしてボランティアで被災家族と接し「家族とは何ぞや」と頭をよぎるような場面は数多あったことでしょうし、職場の同僚、故郷の旧友、そしてSNSの友達まで含めれば、誰しも心当たりはあるでしょう。では震災をきっかけに「家族観」はどのように変化していったのでしょうか?

 震災1年目、私のところに急増したのは、震災前まで別居していた夫婦(単身赴任を除く)が震災後、また一緒に暮らし始めたという男性の声です。震災をきっかけに「妻とやり直すことにした」という「震災復縁」です。

 今回、焦点を当てたいのは震災復縁した夫婦の「その後」です。あれから5年後……これらの夫婦はどうなったのでしょうか?今回紹介するのは2組の夫婦。先に結論を言ってしまうと、片方は今でも離婚せず夫婦のまま、そして片方は離婚して「元」夫婦に形を変えたのですが、何が明暗を分けたのでしょうか?具体的に見ていきましょう。

「こんな人ならいない方がマシ」と
妻が息子を連れて出て行き別居状態に

「あの日(震災当日)のことですが、別居中の妻とたまたま鉢合わせになったんです!」

 そうやって嬉しそうに語るのは八代哲彦さん(45歳、仙台市在住)。5年前の3月11日。哲彦さん夫婦はまだ籍は入っているけれど、すでに別々に暮らしており、もはや離婚は秒読みという段階でした。

「まるで旦那からイジメられているような感じで、私はもう我慢の限界でした。こんな人なら『いない方がまし』だと見切りをつけたんです」

 哲彦さんの妻は後日談として、このように振り返ってくれましたが、それもそのはず。残念ながら哲彦さんは互いに良い夫、良い妻とは言いがたい存在でした。哲彦さん夫婦は共働きですが、哲彦さんはほとんど育児や家事を手伝おうとせず、それなのに妻のやる事なす事に文句ばかり言っており、まさに亭主関白そのもの。