陥りがちな思考の罠に迫る「カイゼン!思考力」。今回は、偽陽性の罠を取り上げる。

――問題です

 以下のA氏の考え方の問題点は何でしょうか

 A氏は、ある感染症のウイルスに感染しているのではないかと思い、検査を受けてみることにしました。この感染症は、一度ウイルスに感染すれば、時期の差こそあれ、ほぼ間違いなく発病します。しかも、治癒の方法はなく、あとは緩やかな死を迎えるだけという、大変恐ろしいものです。今の日本では、5万人に1人がウイルスのキャリアと予測されています。

 検査の現在の精度は99.9%。つまり、99.9%の精度でキャリアかそうでないかを見分けることが可能という非常に高精度のものです。

 そして、後日、A氏にもたらされた結果は「陽性」でした。

「これで俺の人生もお終いだ。この病気にかかったら、もはや逃れる術はない」

注)上記の感染症および検査方法は架空のものです