ただし、懸念もある。前回のロンドン五輪で銀メダルに輝いた女子サッカーは予選敗退。男子バドミントンで「メダル確実」と言われていた桃田賢斗選手には違法カジノ店での賭博が発覚し、無期限出場停止処分が下された。

「以前から注目されてきた選手やメダル候補選手が不在ということで、リオは日本にとって地味な五輪になるかもしれません。そのときのフォローアップは必要でしょうね。注目したいのは、東京五輪で競技種目として復活する野球とソフトボール。どちらも日本で人気の高い種目なので、盛り上げに一役買うのではないでしょうか」(鈴木氏)

 鈴木氏は、「もう1つ気をつけなければならないことがある」と指摘する。それは、2018年と2022年にそれぞれ冬季五輪が開催される、韓国、中国との関係だ。東京五輪を含め、東アジアで五輪が3大会続くのは史上初となる。

「だからこそ、不用意にお互いの足を引っ張るのではなく、うまく応援して雰囲気をつくること、隣国同士で手を取り合っていくことが大事です」(鈴木氏)

 懸念はあるものの、識者は「必ず盛り上がりムードに戻る」と予測している。石原氏が「(開催直前になれば)『五輪を応援しない人は非国民』というムードにすらなるのではないかと、逆に心配しています」と言うように、現在の盛り下がりを心配するのは杞憂なのかもしれない。

批判したいけどお祭り騒ぎもしたい
五輪を愛する日本人の深い心理

 戦中・戦後の日本を描いた長谷川町子氏の名作4コマ漫画『サザエさん』には、1964年の東京五輪当時に発表された、次のようなエピソードがある。

 自宅を訪れたお客に対し、五輪開催について苦言を呈す波平。しきりに「お祭り騒ぎだ」と批判する波平を見て、客は残念そうに「誘おうと思っていたのですが……」と言って、五輪の観戦チケットをしまうのだ。まさかお客が観戦チケットを持っているとは思っていなかった波平は、「見栄をはらなければ良かった」と悲嘆に暮れる。

 批判したいけれど、お祭り騒ぎもしたい――。そんな日本人(もしくは人間)の心理をうまく描写した4コマだろう。

 1964年の東京五輪から半世紀を経て再び開催される東京五輪。現在の「盛り下がりムード」が嘘のように、熱狂的な「盛り上がり」は起きるのだろうか。