損益構造を
品種ごとに抜きだすには?

 一つの商品だけを売り上げているなら簡単ですが、ふつうはいくつかの品種をまとめたものが損益計算書(PL)に反映されるので、損益構造を品種ごとに抜きだすのは大変かもしれません。

 たとえば、あるメーカーが3種類の製品を製造販売していて、それぞれの製品に対応する工場と営業所が三つずつと、それらを統括する本社があったとします。

 この会社のPLの各科目は、次のような構成になります。

(1)売上高…三つの営業所で売り上げた3品種の売上高の合計額。
(2)売上原価…三つの工場で製造した3品種の製造原価(原材料費、労務費、製造経費)の合計額のうち売り上げた分。
(3)販管費…本社のすべての部署と三つの営業所で販売・管理に使った経費の合計額。

 この全体のPLを見ただけでは、3品種のどの製品が儲かっているのかがわかりません。そこで、品種別に分けたPLを作る必要が出てきます。そのためには「販管費」の中味を三つの品種に分けなくてはいけません。

 三つの営業所の経費は品種ごとに分かれているので「直接費」としてそのまま対応しますが、本社の経費は3品種のどれを作ったり販売するために使ったかを特定できない「共通費」と考えられるので、何らかの方法で品種別に割り振る必要があります。

 この共通費を割り振るときによく使われるのが、売上高の比率による分け方です。

 それぞれの売上高がA品種3億円、B品種1億円、C品種2億円で、本社の販管費が5000万円だったとすると、売上高の比率で割り振り、「本社の販管費はAに2500万円、Bに800万円、Cに1700万円かかった」と決めてしまうのです。

 少し難しい話になりましたが、直接費と共通費の考え方だけわかれば結構です。