国民的人気のテレビ番組も
ネット上では情報の一つ

 ネットメディアの普及は、せいぜいこの20年間ほどのできごとであるにもかかわらず、国民の多くがテレビを通じてリアルタイムで同じコンテンツを見ていた時代は、もはや、はるか遠い昔のことのようです。

 現在では、テレビ映像のコンテンツは、YouTubeなどの動画サービスやHulu、Netflixなどの定額制動画配信(SVOD)サービスで、いつでも好きな時間に視聴することができます。

 こうなると、圧倒的な数の国民に支持されたバラエティ番組もドラマも、個人がネット上に発信するブログや口コミなどを含め、世の中に溢れる多くの情報の中の一つに過ぎない存在となり、その事情はテレビCMにも当てはまります。

 実際、今年2月に電通が発表した「2015年 日本の広告費」では、テレビメディア広告費が前年比98.8%の1兆9323億円であったのに対し、インターネット広告費は1兆1594億円と同110.2%の伸びを示し、その存在感を増しています。

 注目したいのは、インターネット広告には「運用型広告」という領域があって、この領域の成長が著しいことです。これは、ネット広告を自動的に消費者の行動特性に合わせて自動最適化して配信するなどの、従来メディアの広告にはない新しい市場です。

 これまでは、たくさんの人が見るメディアの「広告枠」が高く売れたのですが、これからは、自社製品に親和性を持つ消費者に効率よく企業メッセージが伝わる「手法」に、広告としてのより高い価値が認められるという訳です。

 そして、インターネットの登場以前には、CMで企業メッセージを「伝える」ことと「伝わる」ことがほぼ同一視されて来たのですが、ここへ来て、両者は明らかに異なる概念となりました。

「伝わる」ためには、広告として毎日企業から送り付けられる大量の情報にうんざりしている消費者にスルーされないメッセージとは何なのかを、徹底的に考え尽くさなければなりません。

 マーケティングの起点は企業やメディアにあるのではなく、全て顧客にあるのです。