電話番号は機密事項
さながらだった
マーケティングの業界でも「IoT」(Internet of Things、モノのインターネット)が話題になることが多くなってきました。例えば、家電製品などもインターネットにつながることでモノ同士が相互通信し、計測や監視、制御などが遠隔で行えるようになります。
モノ同士をリアルタイムでつなぐのがIoTならば、私は、最初に人同士を遠隔でリアルタイムにつないだのは、携帯電話ではないかと思うのです。
たしかに、インターネットによって世の中のあらゆるシステムが大きく変化した衝撃はすさまじいものがありましたが、それにも増して、携帯電話は人間の生活習慣をドラスティックに変えてしまったと言ってよいのではないでしょうか。
従来、携帯電話の端末はレンタルのみだったのが、1994年の売り切り制導入により一気に普及が拡大しました。
当時30歳の私は初めて携帯電話を手にし、以来、今日に至るまで生活や仕事から携帯電話がなくなってしまうことなど、到底考えられないほどお世話になりっぱなしの日々を送っています。
そんな中、最近ふと「もし、大学生の時に携帯電話を持っていたらどうだっただろう」と考えることがあります。
毎週のように、色々な大学の女子との合コンに精を出していたあの頃。気の合う女性と出会うとすぐさま電話番号を聞き出そうと行動を起こすのですが、もちろん、電話番号といえば自宅の番号、いわゆる「固定電話」の番号でした。
自宅で家族と共通の電話番号しかない場合、女性はそう簡単に番号を教えてくれるものではありません。電話番号は、機密事項さながらです。運よく電話番号を聞き出して、やっとの思いでデートまでこぎつけたとしても、交通事情や思いがけない急用が入って約束の時間に大幅に遅れてしまえば一貫の終わり。
待ち合わせ場所に着いた時には、すでに彼女はいなくなっていた、なんていうことは何度となくありました。駅の西口と東口を間違えて、時間通りに着いていたのに、結局相手に出会えず終いなんていうこともありました。