よいことであれば、当然のことでも、
言葉で伝える

 リーダーは周囲の人たちに対して感謝の気持ちを伝えたり、ねぎらいの言葉をかけるなどして、自ら率先して人に対するリスペクトを実践してください。

 リーダーはよくも悪くも模範になってしまいます。特に、若い人たちは、上の人たちの悪い部分ばかりを真似しようとしますから、リーダーがよい手本になることが大切です。

 リーダーが率先してリスペクトを周囲の人たちに示すことによって、メンバーの一人一人は日々、自己肯定感や自己重要感を増していくことになるでしょう。よい雰囲気が波及し、働きやすい職場環境になり、結果的に組織は活性化するはずです。

 もちろん、相手に対するリスペクトは、形で表す必要があります。感謝やねぎらいの気持ちは、仮にあふれるほどたくさん皆さんの心の中にあったとしても、なんらかの形で伝えなければ、残念ながら相手には伝わりません。ですから、やはり言葉で伝えることが必要になります。

 以心伝心なんて幻想であり、基本的にはありえないと思っていたほうが間違いありません。ロマンのない話で申し訳ないのですが、私は以心伝心なんてものは、恋人や夫婦の間だってそうそうあるものではないと思っています。

 このように、言葉で伝えることが基本ですが、場合によっては、メッセージカードやプレゼント(もちろん高価な物である必要はなく、ちょっとしたお土産でも充分)という形もあるでしょう。

 悪いことに関しては、本人がわかりきっていることを、改めて他人から指摘されると、あまりいい気持ちはしませんが、よいことは、仮にわかりきっていることであっても、言われて嫌な気になることは決してありません。

 皆さん、ちょっと想像してみてください。

 皆さんは自分を犠牲にして、家族のため、会社のために、がんばってこられたと思います。もちろん、ご家族の皆さんも、そんな現状をよく理解していると思います。家族から具体的な感謝の言葉がなかったとしても、家族の笑顔を見られれば、それだけで充分という人も多いと思います。