コミュニティで初めて気づいた
ユーザーの「不満」
そんなふうに、マーケティングの方針を転換した矢先、クオン株式会社からコミュニティの活用を提案されました。顧客の本音をコミュニティで創出することで、他者に影響を与え、同時にその声をサービス改善に活かす。そのことがコンバージョンの増加に結びつく、というものでした。
たしかにこちらとしても、どうやってユーザーの声を集めるか、それをどのように掲載するかというのは悩みどころだったのです。例えば、自社のホームページにアンケートなどから抜粋した声を載せるのは、消費者から見ると「どうせ良い声ばかり載せてるんでしょ」「企業の方でつくった感想なんじゃないの?」と思われがちです。
また、価格.comなどの比較レビュー系のサイトは、教育サービスには向きません。実体験をもとにした価値が伝わりにくいからです。こうしたことから、第三者感があり、リアリティの高い声が集まるコミュニティはいいかもしれない、と考えました。
そして、2010年4月に「たのまなコミュニティ」をスタートしました。最初は全員が参加できるサークルや、講座受講生、受講検討者別のサークル(部屋)などをつくりました。やはり共通の勉強をしている人は、共通の言葉で語り合えるので、仲良くなりやすいんです。こちらからコミュニティを活性させるための施策として、企画をおこなうこともあります。「『あなたの春☆フォト』教えてください」という企画では、桜関連の写真投稿がたくさん集まりました。コミュニティを開くと薄紅色の画像が集まっている――。このことは、勉強に勤しむ受講者の皆さんに対し、つかの間のほっとする時間を提供できたのではないかと思います。
また、ネイル講座のサークルで「ネイルアート投稿募集」という企画を開催したところ、みなさん「自信がないのですが……」と書きながらもいろいろ投稿してくださいました。自分のネイルアート作品に他の受講者から感想をもらうことで、モチベーションが上がった人もたくさんいたと思われます。
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そのほか、コミュニティ導入の狙いの一つに、ユーザーの声をサービス改善に活かす、ということがありました。その一例を紹介します。「たのまな」には、スワロフスキークリスタルというキラキラした小さなストーンを並べてデコレーションする、クリスタルデコレーションという講座があります。そのサークル内で、「教材セットに入っているストーンが足りない」という声がいくつかあがっていました。本当は、教科書通りにつくればストーンが足りなくなることはないんです。でも、そうやって悩んでいる人が多いということは、改善すべきだと判断し教材のストーンの数を増量しました。
すると、だんだん「改善されているのかもしれない」「ストーン数が増えたんですね」「買い足さなくて大丈夫でした」などの声が増えていきました。規定の数だけでなく、少し余分にストーンを入れることで満足度が上がるというのは発見でした。これは、コミュニティをやっていなければわからなかったことです。
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