昨今広告業界では、デジタルを基盤としたテクノロジーの活用がさかんです。私たちも、こうしたテクノロジーをお客様とのコミュニケーションにどう活かしていくかを考えています。お客様との関係をつくるコミュニケーションを、「Individual(個人)」「Amplification(増幅)」の軸と、「Automation(自動)」「Emotion(感情)」の軸のマトリクスで考えると、私たちが今一番注目しているのが、図中右下第4象限の「Amplification(増幅)」かつ「Emotion(感情)」の部分、想いのシェアができる消費者コミュニティです。
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消費者コミュニティに注目している理由を、さらに3つにまとめました。ひとつは「増幅」。コミュニティ内で発生するハートウォーミングな投稿や対話を、他のお客様が閲覧することで感情を増幅させることができます。次は「育成」。コミュニティの活動に参加すればするほど、森永乳業や商品ブランドに対する愛着が強まり、購入頻度や推奨頻度が高まります。3つ目は「共創」。お客様の生の声を商品開発や販促ツールなどに活用するということ。この部分について、商品開発はなかなか難しいと感じていますが、リサーチの面ではかなり使えるのではないかと考えています。
コミュニティに関与している人は、
まわりに商品を勧めてくれる
さて、ここから具体的なコミュニティの話に入りましょう。最初に取り組んだのは「MOW」というアイスクリームのコミュニティサイトでした。名前は「MOW CLUB」で、2012年8月にオープンしました。現在、3万8000人のMOW好きのお客様に集まっていただいています。このコミュニティのデータをマイニングしたところ、4つのことがわかりました。
1つ目は、コミュニティ内でさまざまな活動をして「関与」のレベルが上がると、態度も好意も向上するということです。2つ目は、ユーザーのコミュニティへの訪問頻度が増加するにつれ、「認知」や「興味・関心」「比較・検討」などの各ファネルの態度が向上するということ。3つ目は、ファン化のステップが上がった人にどんな施策が影響したかを見ると、「モニター募集」に反応している傾向がみられるということ。4つ目は、態度の変容があった人、購買頻度が上がった人に影響を与えたコメントから、他者に影響を与える声「VOI(Voice of Influence)」がどれなのか、がわかりました。
コミュニティを運営していて、お客様がコミュニティに関与すればするほど、MOWについて知人や友人、家族に勧めてくれるなど、ファン化が進んでいるという肌感はあったのですが、データを分析することで数値として表れたのには感動しました。そこで、MOWでうまくいくならば、企業全体のコミュニティでもうまくいくのではと考え、2015年7月に「Newの森」という、森永乳業商品や乳製品が好きな人が集まるコミュニティサイトを立ち上げました。1年運営して、今は2万1000人の規模にまで成長しました。
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