Newの森では、3つの取組みをおこないました。1つ目は、コミュニティで得られたVOIを広告に使い、広告に反応したかどうかを、意識ベースではなく、実際の行動ベースで調査しました。題材に使ったのは、「パルテノ」というヨーグルト。これは、日本で初めてギリシャの伝統製法を使ってつくられた、濃厚な新食感のヨーグルトなんです。2011年に発売したときは新商品ということで、情報感度が高いイノベーターを狙ってギリシャヨーグルトというもの自体に関心を持ってもらうPR中心の施策を実施しました。2012年、2013年にはマスメディアを使って認知を拡大して、アーリーアダプターに届くようにしました。そこからは実利主義者が多いマジョリティにアプローチするために、メッセージを変えました。いまは第4ステージとして競合商品が出るなど市場が拡大しているという状況にあります。そこでコミュニケーションをどのように変えていくべきかの課題を踏まえて、コミュニティサイトを使って、この第4ステージに適したメッセージを探そうと考えたのです。
本当に「効く」広告とはなにか
コミュニティ内の声から抽出する
手順としては、コミュニティ内でモニターを募集し、その方達から声を抽出します。さらに、上がってきた声についてコミュニティ内で反応を見て、態度や行動が変わった人から最も「拍手」を集めた声を選定しました。ここで出てきたのが、2つのテーマでした。一つは、パルテノの濃厚さを示す「スプーンを逆さにしても落ちない」という画像を使った「例のアレ、やってみよう!」というもの。もう一つは「開発に3年かかっている」など、パルテノのこだわりを伝えた「パルテノの情報をご覧になって、感想をお聞かせください」というものでした。
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この2つの要素を使って、バナー広告とランディングページをつくりDSP広告配信で市場テストをおこなったのです。私たちの仮説では、新規のお客様と既存のお客様は反応する声が違い、新規のお客様には「逆さスプーン」が、既存のお客様には「こだわり」が効く、と考えていました。しかし、新規も既存もともに「逆さスプーン」のほうがクリックされるという結果が出ました。
さらに、今度は購買データで実際に商品を買っていただいたかどうか、というところも調査しました。その結果、私たちの仮設とは逆の結果が出たのです。つまり、新規のお客様は「こだわり」訴求のほう、既存のお客様は「逆さスプーン」のほうが購買につながりました。
これはなぜなのでしょうか。おそらく、新規のお客様はこれまで商品を買ったことがない「マジョリティ」の方々です。彼らは実利主義者ですので、逆さスプーンに目を引かれたものの、結局はどういう商品かを知ることが購買につながったのではないかと考えられます。また、既存のお客様はもうパルテノについてはよく知ってくださっている。だからこそ、見たことはあるけれどやったことはなかった「逆さスプーン」に興味を惹かれ、もっと深くパルテノを楽しみたい、と考えられたのではないでしょうか。
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