森永乳業の「本当に効く広告」、鍵はコミュニティにあり

 Newの森での取り組み、2つ目はコミュニティの中にいる人達によって、どれくらい我々の商品が買われているのか、ポイントカードの購買データと結びつけて調査をしました。拡大推計なのでいろいろな前提をおいての計算結果ですが、2万人のコミュニティで10ブランドについて、推定3000万円の売上があるという数字が出ました。コミュニティ参加者が10万人になれば、年間約1.4億円の購買が見込めるのではないか、というシミュレーション結果も出ました。金額の正確性はともかくとして、コミュニティ内の購買の影響を数字でみるという試みは、コミュニティの価値を定量的に見るという点において意義があったと思っています。

 3つ目は、「コミュニティに参加することで購買額が上がるのか」ということを検証しました。新規で会員になっていただいた2300人の方々の、コミュニティに入る前の6ヵ月の平均購買個数と、入った後の2週間の購買個数を比較したのです。すると、購買個数が約2倍になったという結果が出ました。実際には、その2週間で他のキャンペーンもいろいろおこなっているので、コミュニティに入ったから2倍になったとは言えません。これからさらに長期でデータを分析し同じ期間の変化を比較することで、もっとはっきりした効果が見えてくるのではないかと思います。

企業と消費者が、心あたたまる関係を築くために

「お客様と良い関係をつくるには、お客様のことを知り、私たちのことを知ってもらったうえでの、コミュニケーションが必要」(寺田さん)

 今後は、コミュニティ関与者の購買量だけでなく、購買タイミングとコミュニティ内の行動との関係を研究していきたいと考えています。また、それをもっと掘り下げるために、マス広告での接触など他のデータとも連携して、コミュニティ外の行動も含めた購買行動と関与ポイントとの関係を探っていきたいと考えます。これはつまり、消費者コミュニティをプライベートDMP(Data Management Platform)に活用していくという世界だと捉えています。悩みとしては、コミュニティの中でどれだけ「広告・宣伝」っぽさを出してもいいのか、という部分の最適解がどこにあるのか、ということがあげられます。また、コミュニティの登録者から、さらにそのご家族に広げる方法はないか、と考えています。

 私たちの扱う日用消費財というのは、たまたま店頭で見かけて商品を買うところからお客様との接点ができることが多いものです。こうした商品を通じた接点に加えて、お客様と直接接触することで、お客様との共感の輪がさらに強まると考えています。その接点としては、リアルイベントやコミュニティがあります。お客様と良い関係をつくっていくためには、お客様のことを知り、私たちのことを知ってもらい、その上でコミュニケーションをすることが必要です。お客様とのコミュニケーションを通じて関係を深める部分で、消費者コミュニティが重要な役割を果たすでしょう。

CPG(Consumer Packaged Goods=一般消費財)ブランドのカスタマージャーニー
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 繰り返しになりますが、私は感情を伴うメッセージによる双方向の心あたたまるコミュニケーションが、最高の広告だと考えています。それを実現するために、従来からリアルでの接触は大事にしてきたのですが、これからはそこにデータとデジタルの力を掛け合わせることが必要になってくる。このテクノロジーの有効な活用が、消費者コミュニティが担える部分です。こうした想いから、私は消費者コミュニティというものに非常に惚れ込んで運営をしています。

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クオン株式会社

〒105-0001
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