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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機
【第23回】 2016年8月5日
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齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

IoTはまだ「グリーンフィールド」
想像力の豊かな企業が勝つ

新たなビジネスモデルは
「モバイルはタダで配り、収益はIoTで得る」!?

 そうした意味で、ARMのような工場を持たないファブレス企業を買収することで、通信事業と相乗効果が狙える体制を整えたのは非常に意義深い布石といえます。あらゆるモノがインターネットにつながるIoTの時代に、さまざまなモノに用いられる通信半導体でもARMが高いシェアを持つことができれば、現在のスマホ向けをはるかに凌ぐ収益が期待できるでしょう。

 もしかしたら、孫社長の頭の中にはもうすでに、「モバイルはタダで配り、収益はIoTで得る」という新たなビジネスモデルができあがっているのかも。私が彼のようにITアーキテクトだったら、どんなにかワクワクしていることでしょう。

 孫社長率いるソフトバンクグループが今後、どのくらいのスピードでクリエイティビティを発揮できるかが注目されるところです。

 今の段階では、ARMの独立性は守ると言っていますが、これはおそらくパフォーマンスでしょう。すぐに改革を進めてしまうと、この企業の大切な資産である優秀な技術者が去ってしまうリスクがあります。「みんなで、もっと面白いことをやっていこう!」と技術者をインスパイアできるかどうかが1つの鍵となりそうです。

Jリーグの動画配信、ポケモンGO大人気など
日本企業が久々に快進撃

 ちょうど同じ時期に、Jリーグの村井満チェアマンが英国の動画配信大手、パフォームグループと放映権契約を結んだことを発表しました。その総額は、10年契約で最低保証金2100億円を超える規模。日本のスポーツ放映料としては過去最大です。

 これにより、今後はスマホ、ダブレットなどで安く手軽にサッカーが視聴できるようになります。さらに、パフォームが世界のスポーツ番組制作で培ったノウハウや先端技術を活用し、新規ファンを掘り起こすような動画制作も手がけるようですから、大きな転機になることでしょう。

 ほかにも、海外でスマホ向けゲームアプリ・ポケモンGOが大人気の任天堂や、公開価格を大幅に上回る初値をつけたLINEの上場など、久しぶりに日本企業の明るい話が聞けて、何とも嬉しい気分です。

SPECIAL TOPICS

齋藤ウィリアム浩幸 [内閣府本府参与]

さいとう・ウィリアム・ひろゆき
1971年ロサンゼルス生まれの日系二世。16歳でカリフォルニア大学リバーサイド校に合格。同大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部卒業。高校時代に起業し、指紋認証など生体認証暗号システムの開発で成功。2004年に会社をマイクロソフトに売却してからは日本に拠点を移し、ベンチャー支援のインテカーを設立。有望なスタートアップ企業を育成している。12年には、総理大臣直属の国家戦略会議で委員を拝命し、国会事故調査委員会では最高技術責任者を務めた。また13年12月より内閣府本府参与に任命されている。世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2011」選出。2015年6月より、パロアルトネットワークス合同会社副会長に就任。著書に『ザ・チーム』(日経BP社)、『その考え方は、「世界標準」ですか?』(大和書房)。

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齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機

歴史的に、世界に挑むチャレンジ精神は本来、日本人が持っていた気質。しかし今の時代、日本のお家芸“ものづくり”だけでは新興国に負けるのは火を見るよりも明らかだ。成長へと反転攻勢に転じるために必要なものは何か――。それは革新的なイノベーションを起こすための「世界標準の思考」に他ならない。気鋭の起業家であり、技術者である筆者が、日本が再び世界をリードしていく道はなにかを説く。

「齋藤ウィリアム浩幸 日本の欠落、日本の勝機」

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