業界も不意をつかれた買収発表
アメリカのメディアは、ソフトバンクと孫正義氏の話題が好きである。孫氏は、見通しの利かない大きな賭けに出る「予測不能な人物」というのが定評で、ヤフー、アリババなどへの投資、スプリントの買収などで、 その名前と行動パターンはよく知られるところとなっている。
それでも、今回のイギリスのチップ設計会社ARMの240億ポンド(約3.3兆円)の買収は不意打ちに近かった。
通信会社がなぜチップを? その後、買収理由の焦点も、スマートフォンからIoT、ロボット、人工知能、ついにはシンギュラリティ(人工知能が人間の知能を超える状態)へと刻々と推移しながら、ソフトバンクのニュースが伝えられている。
今回の買収を警戒する株主によって、ソフトバンクの株価は下がり、反対にARM株主の歓迎ぶりは同社の株価の上昇に表れている。
だがそれとは対照的に、この買収が将来大きな儲けに化ける可能性が高いとする見方と、ソフトバンクによる買収はARMにとって決して朗報ではないとする意見もあるので、それを拾ってみよう。
ソフトバンクにとって賢い動きだったとする見方の背景には、ARMの持つ高い技術力がある。