オリンピック型外食チェーンと
ワールドカップ型外食チェーン

 さまざまな競技で世界の一流選手が集い、世界一を決めるオリンピック。

 サッカーや陸上競技など、単一の競技で強さを競い合うワールドカップや世界選手権。

 どちらも同じ世界規模のスポーツイベントですが、見る側にとっては、それぞれに見る楽しみがあります。

 外食産業でも、いろいろな料理が楽しめる店と、メニューを一本に絞って提供する店などいろいろなタイプの店が存在します。

 中華チェーン店で最大規模を誇る「餃子の王将」は餃子を看板メニューにしながら、多数のメニューを取り揃え、まさに中華のオリンピックのような存在。

 一方九州福岡が地盤で、関東にも積極的に出店しているラーメンチェーン店「一蘭」はメニューを“とんこつラーメン”一本に絞り、ワールドカップのような存在です。

 2つの会社は中華の外食チェーンという同じ業界にいながら、まったく違った商品戦略、店舗戦略を取り、それぞれ独自の強みを発揮しています。今回は外食チェーン店で成功している2社の戦略的な違いを「ドメイン」理論で分析してみます。

ラーメン店に「半個室」を取り入れた
一蘭のイノベーション

 餃子の王将は店舗数が約600店、売上高も700億円近い規模を誇り、テレビなどでも頻繁に取り上げられるので、ご存じの方も多いでしょう。

 一方の一蘭は、現在の店舗数31店舗、売上高は55億円と規模は餃子の王将には及ばないながらも、ラーメン専門のチェーン店として独自の地位を築いています。一蘭の大きな特徴は2点あり、1点はメニューを基本的にとんこつラーメン一本に絞っていること。2点目は、独自の「味集中カウンター」を設置していることです。