味集中カウンターとは、カウンター席の両方に仕切りがあり、半個室のようになっているカウンターです。さらにラーメンが出てくる厨房側には簾(すだれ)が掛けられており、厨房でラーメンを作っている様子は客席からは見えません。また、店員から客の食べている様子も見えないようになっています。一蘭では席の案内以外で店員と顔を合わせることはほとんどありません。一蘭が味集中カウンターを開発した狙いは、周りが一切気にならないため味覚が研ぎ澄まされ、顧客がラーメンのおいしさをより深く味わえると考えたからです。

 この半個室システムは、最近では焼き肉店などでも取り入れる店が出ています。焼き肉は、カップルや家族、グループなど複数で楽しむのが一般的ですが、1人で焼き肉を食べたいという消費者のニーズを掘り起こしています。そのきっかけになったのがこの一蘭の味集中カウンターと言われています。

餃子を糸口に、中華料理全般に広げた
餃子の王将の戦

 一方、餃子の王将は客席から厨房が見えるオープンキッチン方式を取っています。客席からは餃子を焼く様子や、炒め物で調理人が鍋を振るう様子が手に取るように見えます。また、カウンター席とテーブル席の両方を備え、一人の客から、カップル、家族、グループ客まで幅広いタイプの利用ニーズに応えています。カウンター席、テーブル席ともに隣の席との間隔はやや狭く、落ち着いて食事をするというよりも、店内の喧噪や威勢のいい店員の掛け声、調理の様子なども見ながら食事を楽しむというスタイルです。

 一蘭と餃子の王将はメニューも好対照で、一蘭は基本的にとんこつラーメン一本に絞っています。ただし、スープの濃さ、麺のかたさ、トッピングなどはオーダー用紙で一杯ずつ細かく注文できるシステムを取り入れています。このシステムによって、表面的なメニューは1つでも、顧客は個人の好みやその日の気分で違うラーメンを味わうことができます。

 一般的なラーメン店でも口頭で麺のかたさをリクエストしたり、トッピングを指定したりすることはできますが、混んでいるときなどはなかなか言い出しにくいものです。一蘭の独自のオーダーシステムはその心理的なハードルを取り除き、顧客の細かい好みに対応できるシステムになっています。

 餃子の王将は看板メニューの餃子を筆頭に、麺類、炒め物、揚げ物など大衆的な中華料理店で出される代表的な中華のメニューを一通り提供しています。こちらは、細かい味の指定はできませんが、料理を選ぶ楽しさが味わえます。また、大手のファミリーレストランなど多くの外食チェーン店と違い、店内調理を基本としているため、目の前で手作りで調理されたできたての料理を楽しむことができます。