ここで言う“技術”とは製造技術やIT技術だけにとどまらず、接客や仕入れ、販売などの幅広い意味での技術を含んでいます。“技術”は外食産業では、店舗形態やメニューに具現化されるものです。

 餃子の王将と一蘭では、ドメインの設定で“顧客(誰に)”と“機能(何を)”に大きな違いがあるため、“技術(どうやって)”に大きな差が出ているのです。2社のドメインの要素をまとめたものが下表です。

                                                                  〔筆者作成〕

 一蘭は餃子の王将に比べ、顧客を絞り込んでいるため、ドメインは狭くなっています。一般的にドメインを狭くし過ぎると個店の経営はできても、チェーン展開などの事業拡大には限界が出てきます。しかし、一蘭の場合は、独自のオーダーシステムや味集中カウンターという新たな顧客価値につながる工夫を施し、顧客の支持を得て多店舗展開を成功させています。

 活気あふれる店内でさまざまな中華料理を楽しめる餃子の王将と、誰にも気兼ねせず好みのラーメンをじっくり堪能できる一蘭。やり方はまるで正反対のようですが、しっかりと独自のドメインを設定し、顧客の支持を受けているところに共通点が見出せます。

 *15回にわたってお送りしてきた本コラムは今回をもって最終回です。ご愛読いただいた皆さまには心より御礼申し上げます。ありがとうございました。