EU首脳会議が行われ、英国のEUからの離脱延期を決定し、3月29日に迫っていた「合理なき離脱(No-deal Brexit)をひとまず回避することができた、だが、テリーザ・メイ英首相が要請していた「6月末までの離脱案」をEUが却下し、その代わりに英国に「4月12日までに」離脱方針を決めることを求めた。

採決の目途が立たない
メイ首相のEU離脱協定案

英国のEU離脱が暗礁に乗り上げていますPhoto:PIXTA

 英国内の離脱議論の迷走にEU首脳は業を煮やしている。アンゲラ・メルケル独首相は「英国がどんな道を進んでいきたいのか明らかにする必要がある」と訴えた。ドナルド・トゥスクEU大統領は「英国の運命は英国人たちの手中にある」とし、「合意なき離脱」「長期延長」「ソフト・ブレグジットへの転換」「離脱の取り消し」と、「4月12日まではなんでもできる」と英国に呼び掛けた。

 だが、英国ではメイ首相の求心力が著しく低下している。メイ首相が、EUと合意して英議会に提示した離脱協定案は、今年1月と3月中旬の2回、大差で否決された。それでもメイ首相は3回目の採決を目指してきた。

 しかし英議会ではメイ首相の、EUとの離脱協定案を承認しないと離脱できなくなるという「脅し戦略」に対して、反発が強まっている。野党のジェレミー・コービン労働党党首が「EU側でもメイ首相を支持する人はいない」と批判しているだけではない。与党の保守党内の強硬離脱派やメイ政権に閣外協力する北アイルランドの民主統一党(DUP)が過去2回の採決で反対した。

 極めつけは、保守党出身のジョン・バーコウ下院議長が、「既に下院で2度否決された離脱協定案は、内容に大幅な変更がない限り、新たな採決を行うことを認めない」と発言した。議会制民主主義のあり方としては、至極まっとうな発言だが、保守党は激怒し、議会は大騒ぎとなった。とにかく、メイ首相による3度目の採決で可決させるには、さまざまな困難が待ち受けている情勢だ。