ロート製薬と塩野義製薬Photo:Diamond

大衆薬分野での協業を視野に資本提携していたロート製薬と塩野義製薬の子会社が、この提携を解消していたことが分かった。大衆薬における“大阪タッグ”は幻に終わった。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)

塩野義の「セデス」や「ポポン」
ロートの販売網に乗らずじまい

 大衆薬大手のロート製薬とシオノギヘルスケアが、2018年に結んだ資本提携を解消していたことが、ダイヤモンド編集部の取材で分かった。

 シオノギヘルスケアは塩野義製薬の大衆薬子会社で、売上高72億円(18年3月期)の中堅大衆薬メーカー。解熱鎮痛剤「セデス」、風邪薬「パイロン」、ビタミン剤「ポポン」など存在感あるブランドを複数保有し、商品力や開発力には定評がある。

 一方、大衆薬大手のロートにはドラッグストア、コンビニ、通信販売、海外販売など、豊富な販売ネットワークや販売ノウハウがある。

 この2社は大阪が本社という共通点があり、互いの強みを生かせる可能性があるとみて「協業に向けた資本提携」を締結していた。具体的には塩野義の完全子会社(当時)だったシオノギヘルスケアの株式の15%を、ロートが取得するというものだった。

 医療用医薬品中心の製薬会社では、経営資源を集中させるために大衆薬事業を売却する流れがある。そのため業界内では、シオノギヘルスケアが売却される前段階の動きともみられていた。

 しかし、業界関係者の見立ての通りにはなっていなかった。この資本提携、実は19年までに解消されていたのである。