ロート製薬は今夏、武田薬品工業と関係が深かった痔治療薬「ボラギノール」製造販売元を子会社化した。ロート製薬を率いるのは旧武田コンシューマーヘルスケア(武田薬品100%子会社、当時)を去った杉本雅史社長。特集『武田薬品 製薬エリートの真実』(全8回)の#7では、タケダの元エリート社員、杉本社長が内に秘めた野心を語った。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
タケダ系「ボラギノール」の天藤製薬
旧タケダ人材の関係もありロートに
――武田薬品工業が株式30%を保有し、痔疾患治療薬「ボラギノール」で有名な天藤製薬を今夏、子会社化(株式67%保有)しました。
天藤製薬は今年10月で創業100周年の会社。創業家(大槻家)に聞いてもらった方がいいけれど、社員のことを思って何がベストの選択なのかを真剣に考えたんだと思います。
今までは武田薬品本体とタッグを組んでタケダ(ダイヤモンド編集部注:武田コンシューマーヘルスケア、売却後はアリナミン製薬)に販売を依頼してきた。でも武田薬品本体は医療用の新薬の稼げるところにしか経営資源を傾注しないという判断をして、天藤さんの製品も外れる。自分たちはどうなるんだという不安があったのでしょう。ロート製薬ありきではなく、いろんな会社に当たっていました。
最終的に旧タケダ人材の関係(編集部注:創業家の大槻浩氏は杉本氏の前任のタケダ大衆薬トップ、天藤製薬現社長は杉本氏のタケダ時代の部下)もあるので、社員もロート製薬なら安心するだろうという決断をしたようです。
――ボラギノールの販売はロート製薬に交代するのですか。
(アリナミン製薬との)契約があり、資本が変わったからすぐにそうなるわけではありません。パッケージも既に作っているものがありますし。ただし今後はどうなるか……。
――ところで杉本さんは武田コンシューマーヘルスケア社長を2018年3月に突然辞め、翌19年6月にロート製薬社長に就任しました(編集部注:19年1月からロート製薬戦略アドバイザー)。ロート製薬社長のポストありきでタケダを辞めたのですか?