社会保障費は特別なのか?

 数日前、ツイッターのタイムラインを見ていたら、自由民主党の青年局長を務める小泉進次郎氏の発言を賞賛するツイートを見つけた。

 そのツイートが引用する記事を見ると、小泉進次郎氏は「なぜ社会保障の予算だけが、毎年1兆円増えるのが当たり前なのか。ここに切り込まなければ、本当の財政再建はできない。消費税率を上げるたびに、社会保障を良くしたら、いつまでたっても財政再建が進まない」と国会内で記者団に語ったという(「朝日新聞DIGITAL」8月2日)。

 確かに、社会保障費は毎年約1兆円のペースで伸びている。財政を圧迫していることは間違いない。さらに、今のところ最大野党である民主党は、社会保障費が拡大する政策に熱心だ。自民党の青年局長が、財政再建の観点から、社会保障費の拡大を批判するのは、不自然ではない。

 また、思い起こしてみると、小泉進次郎氏の父・小泉純一郎氏が首相だった時にも社会保障費の抑制には熱心だった。おそらく、小泉親子は「大きな政府」が嫌いなのだ。

 たとえば、小泉進次郎氏の言う70歳~74歳の医療費の窓口負担を現在の1割から2割に引き上げるべきだといった措置は、過剰な医療機関利用を抑制するためにも、若い世代との公平性の観点からも、適切だろう。効率化、公平化は速やかに行うべきだ。

 ただし、今後、高齢化が進み、これに少子化が追い打ちをかける日本の人口構造を考えると、年金・医療・介護といった費目の社会保障費支出が拡大するのは、やむを得ない面がある。また、非正規労働者が増えるなど、経済的な弱者の環境が厳しくなる中で、生活保護や雇用保険のようなセーフティーネットの充実も必要ではないか。

「社会保障費」は単純に目の敵にすればいいというものではない。