前回の内閣改造・自民党執行部人事の分析に続いて、今回は民主党を巡る政局を分析する。
民主党については、「寄り合い所帯」であり、安全保障などの重要政策において党内に路線対立があると批判されてきた。「民主党はいずれ分裂する」という主張もある。また、民主党には参院で重要法案の審議を止めて、国会を麻痺させているという批判もある。これを「野党ボケ」と言う方もいる。
しかし、私はこのような民主党に対する批判は、的外れだと考える。民主党は今後も空中分解することはないし、「野党ボケ」してないからだ。
参院を見ないと民主党はわからない
民主党に対する評価が的外れなのは、衆議院ばかりを見ているからだ。マスコミが取り上げるのは衆院議員の話ばかりである。しかし、参議院を見なければ、今の政局はわからない。「衆参ねじれ国会」では、参院を制した民主党がウンと言わないと、なにも決められないからだ(もちろん、与党は3分の2の賛成で衆院再可決という手を持つが、それはなかなか使いづらいものである)。
だから、民主党を巡る政局の焦点は、参院民主党から多数の離党者が出て、野党が参院で過半数割れして、与党側が息を吹き返すような事態が起こるかということである。逆に言えば、極端な話だが、民主党から衆院議員が全員離党しても、民主党が参院を制する状況に変化がないので、政局的には無意味なのだ。
前原氏は民主党内に
影響力を持ち得ない
それでは、具体的に民主党から参院議員が離党する可能性があるのかを検証してみる。
例えば、小沢執行部に批判的な前原誠司さんが率いる派閥を考えてみる。この派閥は野田佳彦、枝野幸男さんら旧日本新党・さきがけ系が中心で約40人の国会議員が属しているとされる。そのうち、参院議員は10人である。単純にこの10人全員が前原さんと共に離党したとしても、参院で野党側が過半数割れしない。