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宗 敦司
2024年3月期に複数案件の採算悪化から損失引当金を計上し、赤字となった日揮ホールディングスと、米LNGプロジェクトのJVパートナーの破産法申請で決算時期を大幅に遅らせたうえに赤字決算となった千代田化工建設。エンジニアリング大手2社の上半期の業績は、順調に推移している。ただ、そこに影を落としているのが、脱炭素化投資の増加と、コスト増に追いつけない顧客の認識のズレによる「投資決定の遅れ」がある。両社が収益の柱とする大型LNGプロジェクトの中で投資決定の遅れが懸念される案件をリストアップ。リスクの本質についても解説する。

米グーグルが、脱炭素電源として次世代原発に触手を伸ばし始めた。小型モジュール原子炉(SMR)技術の開発を進める米企業と契約を交わしたのだ。AI(人工知能)の普及で大幅な増強が求められるデータセンターは、今後電力需要を爆発的に押し上げると予測されており、その電源としてSMRが急浮上している。米アマゾン・ドット・コムも開発を進める企業の資金調達に協力を決めたほか、日本では東芝や三菱重工業が独自に開発を進めている。小型で安全で経済的といわれるSMRについては、ロシアや中国が商用段階に入ったほか、韓国、英仏カナダの有力企業も国を挙げて開発に乗り出している。しかし、そこには二つの大きな落とし穴がある。

プラントエンジニアリング大手で三菱商事の連結子会社である千代田化工建設が発表した2024年3月期の純損益は当初予想の黒字から一転赤字となった。主因は、米国で受注した100億ドル(約1兆6000億円)を超える超大型LNGプロジェクトのパートナーである米建設会社の破綻だ。千代田化工は1カ月間の決算延期にも迫られた。ただ、今回の出来事は個別企業で生じた単なる大型プロジェクトのトラブルではない。実は、世界の今後のLNGプロジェクトにも及ぼしかねない巨大な「リスク」が露呈したものといえるのだ。今後の世界の大型LNGプロジェクトを示したリストを基に、巨大リスクの正体について解説する。

プラントエンジニアリング国内最大手、日揮HD(ホールディングス)の2024年3月期の連結最終損益は赤字に沈んだ。既に第3四半期までに国内外の案件で採算悪化を見込んでいたが、サウジアラビアの大型案件の不採算も発覚し、黒字の見込みから一転、78億円の赤字となった。ここ数年、海外の大型案件などで順調な業績を残し、脱炭素関連プロジェクトなど新規領域にも積極的に展開していた同社に何が起きているのか。
