モスバーガーは、なぜマクドナルドの
2倍以上のメニューを揃えているのか

 多くの業界にさまざまな影響をもたらした東日本大震災。その中でも外食業界は、消費者の自粛ムードや一部店舗の被災もあり、3月の売上高は全体で前年同月比10.3%減少しました。(日本フードサービス協会調べ)

 4月以降の回復状況は業態によってまだら模様で、居酒屋や高級レストランなどはまだ厳しい状況が続いていますが、比較的早く立ち直っているのがハンバーガーや牛丼などのファストフード業界です。特にマクドナルドは4月の既存店の売上高と来店客数がともに前年同月比+4%を記録し、すでに平常に近い営業状況に戻っています。

 今回は、このマクドナルド(会社名:日本マクドナルドホールディングス)と、そのライバルであるモスバーガー(会社名:モスフードサービス)を取り上げ、両社の強み、特徴をマイケル・ポーターの『3つの基本戦略』で解説してみます。

 さて、ここで質問です。皆さんはマクドナルドとモスバーガーの商品数がどのくらいあるかご存じでしょうか。また、一番安いハンバーガーはそれぞれいくらか分かりますか。

 主力商品のハンバーガー類の商品数はマクドナルドが14種類、モスバーガーが31種類です(5月現在のレギュラーメニュー)。

 同じハンバーガーショップでありながら、モスバーガーの方が2倍以上も商品数が多いのです。ハンバーガーの最低価格は、マクドナルドは100円でモスバーガーは160円です。価格差はわずか60円ですが、比率でいえば1.6倍も開きがあります。

 実はこの商品数と価格設定が、両社の戦略的な違いを如実に物語っています。