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アマデウスたち

駒崎弘樹
目的は収益拡大ではなく社会変革

週刊ダイヤモンド編集部
【第48回】 2008年10月3日
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駒崎弘樹
写真 加藤昌人

 大学在学中に仲間とITベンチャーを立ち上げた。1日15時間働き、事業は順調に拡大した。世はヒルズ族全盛期。若き起業家が「株式公開」を合言葉に突っ走っていた。ふと疑問がわいた。「おれもそうなりたいのか」。思いのままをノートに綴った。気持ちは固まった。「社会の役に立ちたい」。

 ある日、ベビーシッターをしている母からの電話で、子どもの看病で1週間休んだために肩たたきに遭った女性がいることを知った。調べると、病気の子どもを預かってくれる保育施設はわずか2%。役所から補助金を受けながらほとんどが赤字で、規制や行政指導にがんじがらめになっていた。

 NPOを設立し、補助金のいらない病児保育を実現させようと決意、すぐさま視察に米国に渡った。一流大学で学んだ若いエリートたちが、数十億円単位の巨額資金を動かし、地域が抱える問題を一つひとつ解決していく。そのダイナミックさに圧倒された。公共サービスには、洗練されたビジネスセンスが必要なのだと痛感した。

 利用者に月々一定の“保険料”を納めてもらい、子どもが病気になれば無料で、予め募集したその地域の子育て経験者を派遣する。それが独自で考案したシステムだ。サービス開始から3年で100世帯と契約、外資系証券会社など4社の法人顧客も得た。オンラインマニュアルを作成し、ノウハウを惜しみなく公開する。「目的は収益拡大ではない。あくまで社会を変えること」だからだ。

(ジャーナリスト 田原 寛)

駒崎弘樹(Hiroki Komazaki)●社会起業家。1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部在学中に、ITベンチャーの社長に就任。2004年、特定非営利活動法人(NPO)「フローレンス」を設立し、代表理事に就任。2007年、「ニューズウイーク」誌「世界を変える社会起業家100人」に日本人としてただ一人選ばれる。

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