北海道で灯油を混ぜた不正ガソリンが販売され、業界関係者を驚かせている。事の顛末はこうだ。
3月3日、旭川市のガソリン安売り大手、モダ石油グループの帯広給油所で、タンクローリーの運転手がハイオク1万6000リットルの入ったタンクに、灯油2600リットルを誤って入れた。この“混合ガソリン”を購入した客から「エンジンがかからない」といった不具合が寄せられ、販売は中断された。
だが、同グループは「薄めれば使用可能」として他の4給油所に運び、ハイオクに混ぜて11日まで販売を続けた。4月にも混入が発覚し給油件数は計560件に及ぶ。
厳しい品質管理の下、出荷されたガソリンへの混合は、品質維持はむろん、消防法などの安全面や税制面からも強く規制されている。
北海道経済産業局は、品質確保法に基づき、販売見合わせを指導し、「きわめて不適切」と厳重注意などの行政処分を実施している。
今回の問題で、約4100の系列スタンドを抱える昭和シェル石油のブランドは毀損された。
北海道の昭和シェル系列の特約店幹部は「『お宅のガソリンにも灯油が入っているのか』と客に言われた。大変、迷惑だ」と憤る。
業界では無税の灯油を混ぜた不正ガソリンを安値で販売する業者が後を絶たないこともあって、「激安店なのはやはり不正ゆえか、という印象だ」(出光興産系スタンド関係者)と信頼失墜は著しい。
同グループは、本誌の取材に応じない。昭和シェルは「コンプライアンスを第一に今後について(5月11日現在)話し合い中」と言う。39給油所に及ぶ“シェルの看板”をはずすのか、対応を急ぐ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 小島健志)