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吉田恒のデータが語る為替の法則

ユーロ危機の行き過ぎ相場は分岐点に。
「セル・イン・メイ」は6月以降も続くのか?

吉田 恒
【第82回】 2010年6月2日
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 6月相場に入りました。

 5月はユーロ危機が一段と広がり、世界同時株安となって、リスク回避のためにクロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)は急落となりましたが、ユーロ危機が6月も続くようならば、クロス円は引き続き要注意でしょう。

 一方、ユーロ危機が小康状態へと向かうなら、クロス円相場は上昇するでしょう。

 さて、どちらのシナリオになるでしょうか?

 まずは、世界的な株安が6月も続くかどうかについて考えてみたいと思います。

 米国株式市場で、5月のNYダウは約1割の反落となりました。これはここ2年間、2008年も2009年も同じです。

 ただ、2009年の場合は5月中に反落が一巡したのに対し、2008年は6月以降も反落が続き、より一段と広がって行きました。

 今年は2008年のようなパターンになるのか、それとも2009年のようなパターンになるのか、どちらでしょうか?

 5月に米国株が反落しやすいのは「セル・イン・メイ」の影響があると思います。

 5月末はヘッジファンドなどが中間期末としていることが多く、決算対策のために利益確定や損切りが出やすく、相場は下がる傾向にあります。これは「セル・イン・メイ」と呼ばれています。

 2009年は名実ともに「セル・イン・メイ」となりましたが、2008年は「セル・イン・メイ」にとどまらず、米国株安は6月以降もさらなる広がりを見せました。

今回の世界同時株安は
「セル・イン・メイ」だったのか?

 さて、今年5月の米国株反落は、一般的にはユーロ危機の影響のためとされていますが、しょせん「セル・イン・メイ」の影響が大きく出たに過ぎないのか、それとも、やはり「ユーロ危機」の影響であったのか、どちらなのでしょうか?

 もし「ユーロ危機」の影響であれば、それは過小評価できないものとなりそうですが……

 これについて、私は金融政策の影響もあったと思っています。

 2009年の場合は、まだ「100年に一度の危機」が一服した直後だったため、米国は超金融緩和を維持していました。

 それに対して2008年の場合は、7月にかけて原油価格が150ドル近くへと暴騰していく途上にあったことから、金融政策はいったん引き締め気味になっていたのです。

 では、今回の株価と金融政策の関係は、2008年と2009年のどちらに似ているでしょうか?

 ユーロ危機で世界同時株安となったこともあり、一時の早期利上げ期待が後退し、超低金利政策が継続される見通しになっているという意味では、2009年に似ています。

 そうであれば、今回も「セル・イン・メイ」にとどまる可能性がありそうです。

 また、5月に入って「ユーロ危機」が深刻化し、世界同時株安となる中で、いくつかの「いびつな現象」も起こっています。その1つが金利の下がり過ぎです。

 「ユーロ危機」が深刻化する以前、4月までは、「100年に一度の危機」からの世界景気の回復が「予想以上」との見方が広がり、米国の長期金利(10年物国債の利回り)は4月初めに4%まで上昇していました。

 ところが、「ユーロ危機」で世界同時株安となる中で、5月後半には一転して3.1%まで米国の長期金利が急低下する場面も見られました。

 さて、米国の長期金利は、4%と3.1%のどちらがファンダメンタルズ的には正しいのでしょうか?

 普通ならば前者ということになるでしょう。

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吉田 恒 

立教大学文学部卒業後、自由経済社(現・T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。財務省、日銀のほかワシントン、ニューヨークなど内外にわたり幅広く取材活動を展開。同社代表取締役社長、T&Cホールディングス取締役歴任。緻密なデータ分析に基づき、2007年8月のサブプライムショックによる急激な円高など、何度も大相場を的中させている。2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケット エディターズ」の日本代表に就任。


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