2025年は、「投資から貯蓄へ」の逆回転が起きる年となるかもしれない。そんな予兆を感じさせる気配が忍び寄ってきている。その舞台となっているのが定期預金の特別金利キャンペーンだ。(消費経済ジャーナリスト 松崎のり子)
1年物定期預金で魅力的な金利が並ぶ
昨年2024年は、まさに「貯蓄から投資へ」の波を見た年だった。新NISAのスタートを祝すように、日経平均はぐんぐん上昇。3月には史上初の4万円台を突破し、7月22日に終値で4万2224円と最高値を更新する。「やはり投資すればお金は増える」と感じた投資初心者たちは多かっただろう。
あいにく8月にはその楽観ムードを吹き飛ばす暴落ショックが起きるわけだが、積み立て投資の未来を信じる新NISA族は、引き続き粛々と資金を積み上げている。
明けて2025年。取引スタートとなる6日に日本取引所グループの山道裕己CEOが「新NISAがスタートしてから1年がたち、長年の悲願である『貯蓄から投資』への流れが大きく進んでいると感じる」と挨拶していたが、本当にそうだろうか。
ひょっとすると、逆に「投資から貯蓄へ」の逆回転が起きる年となるかもしれない。そんな予感がする気配が忍び寄ってきている。その舞台となっているのが定期預金の特別金利キャンペーンだ。
ボーナスでまとまった金額が入金される夏・冬のタイミングで、ネット銀行やネット支店がキャンペーンで特別金利を出してくるのは例年のことだ。とはいえ、長く続いたマイナス金利政策の影響で、このところはさほど魅力的な数字を見ることはなかった。
潮目が変わり始めたのは、マイナス金利政策解除に踏み切った24年3月のことで、すぐさま銀行は反応した。定期預金金利は23年からすでに上昇していたが、いよいよ普通預金の金利が変更された。三菱UFJ銀行では、2007年以来という17年ぶりに年0.001%から0.02%へ上げ、「金利がある時代が来た」とアピールした。
そして迎えた2024年夏のボーナス金利キャンペーンでは、ネット銀行中心に1年物定期預金で年0.3~0.4%という、まずます魅力的な金利が並ぶようになる。この数字はぜひ覚えておいてほしい。2024年冬にはこの景色が大きく変わるからだ。