USスチール買収に苦戦する日本製鉄が学ぶべき「くら寿司の大成功」、トランプ次期大統領を説得する“とっておきの秘策”とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

日本製鉄によるUSスチールの買収は、このまま頓挫してしまうのでしょうか?トランプ氏を心変わりさせる「ウルトラCな秘策」について考えます。ヒントは人気回転すしチェーンの米国事業にありそうです。(トライズ 三木雄信)

日本に暴言を吐く場外乱闘も!
USスチール買収は頓挫する?

「日本は悪だ」「寄生虫め」「この身のほど知らずが」――日本製鉄によるUSスチールの買収に関して、米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのCEOによる暴言が大きな話題になっています。

 発端は2023年に日本製鉄とUSスチールが買収合意した際、クリフスが競り負けていたこと。今になって恨み節を、しかも汚い言葉やステレオタイプな偏見で当たり散らす場外乱闘には、筆者も驚くばかりです。

 一方で、この買収計画が頓挫しそうな気配があるのも周知の事実です。1月3日、バイデン米大統領は国家安全保障上の懸念から同計画に対して禁止命令を出しました。計画を放棄する命令の期限は、6月18日となっています。

 1月20日には米国でトランプ政権が誕生します。本件のバトンは、トランプ氏に委ねられました。トランプ氏も、大統領選挙中からこの買収計画には反対で、現在もその姿勢を崩していません。トランプ氏を心変わりさせることは非常に難しそうです。

 しかし、このまま日米の対立点として残れば、今後の政治や経済の関係構築に大きな悪影響を及ぼします。なんとか打開策はないものでしょうか?

トランプ氏がOKを出したくなる
良い提案、良い交渉とは?

 この事態を打開するために、経済合理性や日米関係の重要性といった正論を説き続けていても、埒が明かないでしょう。トランプ氏を納得させるには、新しい提案が日本サイドから必要です。

 では、トランプ氏が好む提案や交渉とはどのようなものでしょうか? 彼の実業家としての言動を探ると、いくつか条件が見えてきます。

 一つ目は、ノウハウに熟知したパートナーと組むこと。トランプ氏は不動産業で財を成した後、カジノ業にも参入していますが、いずれもその時々のプロジェクトで最適なパートナーを選び、資金面と運営面で協力を得ることで成功してきました。

 二つ目は、プロジェクトの達成に向けて政治や法律、行政などの枠組み(フレームワーク)を超越して良い条件を勝ち取ること。トランプ氏が行った過去のビジネスは、多くの資金を投資し雇用を創出することを謳って、税金の減免措置を受けるなどして成り立っていたとみられています。

 三つ目は、「トランプ」を前面に出すこと。トランプタワーで知られるように彼は自身の名前をブランドとして物件名に入れ、豪華な内外装にしてパブリシティ効果を狙っていました。簡単に言えば目立ちたがり屋なわけですが、大衆の耳目を集めることで自身の価値を高めていったのです。

 とはいえ、この三つを実行すれば良い方向に進展するかというと、そう生ぬるいものでもないでしょう。それよりもトランプ氏に刺さりそうな、「ウルトラCな秘策」があると筆者は考えます。