参加者たちは平均16キロ減量、糖尿病の改善、血圧低下など、イギリスで話題の減量プログラムがついに上陸。サンデータイムズ・ベストセラーはじめ、「今年を代表するダイエット本」「科学的根拠に基づいた真の減量ツール」とメディア、医療関係者が絶賛しているのが、『英国の専門医が教える 減量の方程式』だ。著者はオックスフォード大学医学部を首席卒業後、食欲や体重管理の研究でイギリスを代表する減量専門医のサイラ・ハミード氏。カロリーや糖質計算はせず、科学的に「満腹感」を味わえ、継続しやすいよう設計されているため、誰もが挫折しにくい配慮がなされている。今回は「超加工品」が及ぼす影響について、特別に抜粋してお届けする。

【減量専門医が教える】太りたくなければ、真っ先に避けたい食べ物・ワースト1Photo: Adobe Stock

私たちを虜にする「超加工食品」

 ビスケットやポテトチップス、炭酸飲料、アイスクリームなどの超加工食品(Ultra-Processed Foods)は、集中的な工業的加工を受けて作られます。人工甘味料や香料、色素、増粘剤、膨張剤、乳化剤は、食品を魅力的にし、原料や加工から生じる不快な色やにおい、食感を隠すために添加されます。

 食べるのをやめるのが難しいと感じているなら、それはあなたの意志力が足りないからではなく、これらの食品が私たちの体内の生理的な働きをハッキングするように作られているからです。

 食品メーカーは巨額の資金を投じて超加工食品を開発しています。科学者や食品エンジニアは、超加工食品をあらゆる側面から消費者を惹きつけるものにすべく、被験者を用いた試食テストを繰り返しています。

 食品は独特の食感や密度(口当たり)を実現しなければならず、通常は口の中で溶けるように調合されます。これらの食品は、あまり咀嚼しなくても食べられるように設計されています。

 超加工食品を長く口に含んでいれば、離乳食のように、まったく噛まずに飲み込むことも可能です。スライスした白パンやビスケット、朝食用シリアル、ポテトチップスなどがその典型例です。

恐るべき砂糖の力

 最も重要なのは、これらの食品は脳の報酬中枢に作用するように設計されていることです。報酬中枢は脳内化学物質であるドーパミンが分泌されることで快感を覚える脳の部位です。コカインなどの薬物を摂取したときに刺激されるのもこの部位です。

 実際、甘い味はコカインよりも魅力的かもしれないという実験結果もあります。

 この実験では、実験用のラットが「コカインの静脈注射を打つ」か「加糖水を飲む」かの二択を提示されたところ、後者を選びました。アイスクリームやビスケットのような甘い超加工食品を食べ始めると、簡単にはやめられなくなるのも不思議ではありません。

 食品メーカーには、強力なドーパミンハイを生み出す食品を開発するためのノウハウがあります。だからこそ、私たちは健康に悪いことを知っていながら、超加工食品を買い、食べてしまうのです。

 これは科学研究によっても裏付けられています。ある重要な研究では、ケーキやチョコレートのような超加工食品を食べると電気ショックを受けることを予期するように訓練された実験用ラットは、電気ショックを受けるかもしれないにもかかわらず、超加工食品を食べ続けました。

 科学的には、面白い実験かもしれません。しかし、これは人間にも当てはまります。

 人間は超加工食品を食べても電気ショックを受けません。その代わりに私たちを待っているのは、体重増加や糖尿病、心臓病、胃酸逆流、エネルギー低下などです。

 そしてラットと同じように、ドーパミンがもたらす一時的な快楽のために大きな代償を支払おうとしているのです。

(本稿は、『英国の専門医が教える 減量の方程式』を一部抜粋・編集したものです)