米10年債利回りは8日午前に2024年4月以来の高水準に迫り、米国株は小型株を中心に軟調に推移した。
これはここ1カ月の投資家の心変わりの一端だ。投資家は当初、米国債利回りの上昇はドナルド・トランプ次期米大統領が約束している成長加速の好ましからざる副作用にすぎないと考えていたが、ここにきて借り入れコスト上昇が並々ならぬ影響をもたらす可能性を懸念し始めた。この懸念が正しければ、2025年は波乱に備えた方が良い。
始まりは米大統領選前後の高揚感だ。トランプ次期政権による規制緩和と減税で成長が加速し、関税が他国の譲歩を引き出すとの期待感から、 株価と債券利回りが大きく上昇した 。多くの好材料を前に夢心地となり、上昇する債券利回りは目に入らなくなっていた。
それからわずか数週間で現実に引き戻された。トランプ氏の政策は良いことずくめではないかもしれない。もし公約通りに不法移民を強制送還し、関税を交渉道具ではなく恒久化すれば、成長を押し下げてインフレを加速させかねない。
さらに悪いことに、米経済が好材料の多くを吸収しきれないリスクが高まっている。経済成長が持続可能なペースを超えると、行き着くのはインフレか金利上昇か、その両方だ。このところの債券利回り上昇はこれを織り込んだものだ。