民主党・鳩山政権が政策の目玉に掲げる「子ども手当」。中学3年までのすべての子供に月額2万6000円(来年度は1万3000円)を支給するというありがたい内容だが、財源の確保や所得制限の有無など、いまだよく見えてこない政策の中身を、不安視する声も少なくない。果たして子ども手当は子育て世帯の救世主となるのか? はたまた増税の布石となるのか? (取材・文/庄司里紗)
「うちは子供が2人いるから、子ども手当が実施されれば月々5万2000円ももらえる計算になる。不景気の今、家計は大助かりですよ」
小学3年生の息子と小学1年生の娘を持つ主婦の矢島妙香さん(36歳・仮名)は、嬉しそうにこう語った。
「私の周りのお母さんたちも、皆子ども手当には期待しているんです」。
民主党の目玉政策として名高い「子ども手当」。実際、この政策を歓迎する子育て世帯の声を、巷でもよく耳にする。彼らが関心を寄せる最大のポイントは、やはり現行の「児童手当」をはるかに上回る支給額だ。
現在、児童手当では3歳未満の子供に月額1万円、3歳以上は第1子と2子に月額5000円、第3子以降に1万円を支給している。これが一律2万6000円を支給する子ども手当に代わると、1人当たり1万6000円~2万1000円も受給額が増えるからだ。
受給期間についても、現行の児童手当が「小学6年生まで」なのに対し、子ども手当は「中学3年生まで」と大幅に延長されている。
両者の違いをもう少し詳しく比較してみよう。
まず、一律支給を原則とする子ども手当に対し、既存の児童手当には所得制限がある。所得制限は扶養親族の数や就業形態によって変わるため、受給の資格を得るには煩雑な手続きと審査が必要だ。
ちなみに、サラリーマンの夫と専業主婦の妻、子供2人の「標準的な世帯」(扶養親族の数が3人)の場合、受給できる年収の目安は860万円以下となっている。