化学業界は大激変の真っただ中にある。脱炭素の対応が待ったなしであることに加え、エチレンなどの基礎化学品を手掛ける大手化学メーカーは、石油化学事業が重荷となっている。住友化学は2024年3月期に過去最大の3118億円の最終赤字を計上した。特集『2025年「倒産ドミノ」勃発!?倒産危険度ランキング【上場434社・最新版】』の#1では、化学業界の倒産危険度ランキングを検証。“危険水域”にランクインした24社の顔触れを明らかにする。(ダイヤモンド編集部副編集長 名古屋和希)
住友化学が相次ぐリストラ策
化学業界は脱炭素対応も重荷に
住友化学は9月中旬、グループ会社の住友ベークライトの一部株式を投資ファンドに売却すると発表した。保有比率は現在の22%強から15%強に下がり、持ち分法適用会社から外れる。
2024年3月期に過去最大の3118億円の最終赤字(前期は69億円の黒字)を計上した住友化学は、今期に入りリストラ策を次々と打ち出している。住友ベークライトの株式売却はその一環だ。
巨額赤字の要因の一つが、 石油化学(石化)事業の不振だ。中国経済の回復が遅れ、需給が緩んだことなどが背景にある。同社は8月には、サウジアラビアの国有石油会社、サウジアラムコとの合弁企業であるペトロ・ラービグの保有株式の一部をサウジアラムコに売却すると発表した。約20年にわたり手掛けてきた一大プロジェクトの大きな転機となった。
その石化は住友化学だけでなく大手化学メーカー全般にとって頭痛の種だ。国内最大手の三菱ケミカルグループでも、石化や基礎化学品などを扱うベーシックマテリアルズ&ポリマーズの24年3月期のコア営業損益は217億円の赤字となった。
脱炭素対応も化学業界全体にのしかかる課題だ。化学業界は日本の二酸化炭素の排出量の1割強を占める。環境負荷の低い技術や原料の活用が迫られている。まさに大激変の真っただ中にある業界といえよう。
今回、ダイヤモンド編集部は化学業界の倒産危険度を検証した。その結果、24社が“危険水域”にランクインしたことが判明した。次ページで、24社の顔触れを紹介していく。3位に総合化学メーカーのレゾナック・ホールディングス(旧昭和電工)が入った。