今年5月、総合電機メーカー大手の三菱電機と、トヨタ系サプライヤーのアイシンが、車載事業の合弁会社立ち上げを発表した。しかし、それから5カ月で合弁を巡る協議は“破談”となってしまった。特集『自動車・サプライヤー SOS』の#14では、三菱電機とアイシンの異業種タッグが頓挫した実情に迫る。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
合弁は「継続協議」にトーンダウン
異業種タッグは立ち消えに
今年5月、総合電機メーカー大手の三菱電機と、トヨタ系サプライヤーのアイシンが、車載事業で合弁会社立ち上げに向けて合意に至ったと発表した。自動車機器事業の収益性改善が急務となっていた三菱電機と、三菱電機が強みを持つインバーターの技術を手の内にして「非トヨタ系」へ取引を広げていきたいアイシンとの利害が一致したのだ(両社の思惑については、本特集の#10『三菱電機とトヨタ系アイシンがEV合弁会社で「主導権争い」の内幕、両社の野望にトヨタとデンソーが睨み!?』参照)。
だが、その公表から5カ月後の10月31日、事態は急展開を迎えた。両社がこの合意の解消を発表したのだ。三菱電機子会社で車載事業を担う三菱電機モビリティ、アイシンの2社が電動化事業の業務提携契約を締結し、合弁会社の設立については「継続協議」となった。
これについて、三菱電機の増田邦昭CFO(最高財務責任者)は同日、開かれた決算会見で「アイシンとの合弁設立の合意解消は、顧客のニーズを踏まえた判断であって後退ではない」と述べたが、協業に向けた積極姿勢が弱まった感は否めない。
なぜ、異業種タッグは半年足らずで立ち消えとなったのか。どうやらその背景には、利害が絡み合う他のサプライヤーや、トヨタ自動車の思惑があるようだ。
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