「会社でのモヤモヤをすべて言語化してくれる本」「会社員人生が180度、変わった!」
そんな感想が届いているのが、安藤広大氏の著書『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』シリーズ三部作だ。これまで4400社以上の導入実績があるマネジメント法「識学」をもとに、ビジネスの現場で「一生活躍し続けられる」メソッドや思考法を授ける本シリーズは、さまざまな業界から圧倒的な支持を集めている。
今回は、全ビジネスパーソンに必須の「意思決定」のあり方を指南する、シリーズ最新刊『パーフェクトな意思決定 「決める瞬間」の思考法』の中から、特別に本書のエッセンスを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
決めないことの「機会損失」
組織においてよく聞く不満は、「前例がないから却下された」ということです。
たとえば、経営者はあらゆる権限を持っています。
「新規事業をやって、次なる種まきをする」
「メディアに出演して、認知を拡大させる」
「M&Aをして、会社を大きくする」……
そうやって、大きな意思決定をすることができます。
それは、会社の中で「大きな方向性」を決める権限があるからです。
逆に言うと、「何もしなくてもいい」ということも許されています。
ある程度、すでに仕組みが回っている会社であれば、新しいことは何もしなくてもいいかもしれません。
経営者が大きな意思決定をしなかったとしても、今の状況が続くことになるからです。
もし、60歳くらいで逃げ切れるような社長は、そういう「何もしない」という決断をするかもしれません。
しかし、多くの会社ではそうはいかないでしょう。
会社が生き残っていくために、さまざまな施策をすると思います。
そして、意思決定をすることによって、成功と失敗が両方生じます。
最終責任者である社長が決めないのは、権限を行使しないということです。
こうしたことは、経営者に限らず、現場でも起こります。
たとえば、部下から意思決定を求められたときに、「保留し続ける」などがそれです。
自分が決めないことによって、意思決定者としての責任は回避できているように錯覚しています。
ただ、保留することによる停滞や未来の損失が確実に生まれているのです。
決めないことによる「機会損失」です。
ただ、パッと見は何も利益を失っていないように見えますよね。
「検討しておきます」
「保留でお願いします」
という状態によって、ゼロでいるように思ってしまいます。
ただ、「見えないコスト」は、確実に発生しています。
つまり、ゼロではなくマイナスの状態なのです。そのことを忘れないようにしましょう。
「検討」という2文字
「もし、それを実行すればどういう成果につながるのか?」
という可能性を本当に検討するのなら、もちろんそれはいいことです。
ただ言葉だけの「検討」があまりにも多いのが、日本社会で起こっていることです。
「検討します」と言っておきながら、実際は何もしていない。
「検討」という言葉は、相手が勝手に諦めるのを待つときに使われてしまっています。
そして、遠回しにお断りをするときに、「検討しておきますね」と、便利に使われてしまっている。
英語の「consider(検討する)」は、本当に慎重に議論することを意味します。
ただ、日本人が「consider」を安易に使うことが多く、アメリカ人は、そのことを不満に思うそうです。
「ノーならノーと言ってほしい」ということです。
そんなズレが生じています。
本当はノーなのに、「検討します」と言って期待させることは、全裸より恥ずかしいことなのです。
いかがでしょうか。「検討」という2文字を安易に使っていませんか。あらためて、振り返ってみてください。
(本稿は、『パーフェクトな意思決定』の著者・安藤広大氏が特別に書き下ろしたものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。2002年、早稲田大学を卒業後、NTTドコモ、ジェイコムホールディングス、ジェイコム取締役営業副本部長を経験。プレイングマネジャーとして「成長しないチームの問題」に直面し悩んでいたときに「識学」に出合い、2013年に独立。多くの企業の業績アップに貢献した。2015年、株式会社識学を設立。わずか4年足らずで上場を果たし、これまで9年間で約4400社に識学メソッドが導入されている。著書にシリーズ累計150万部を突破した『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』(ダイヤモンド社)がある。『パーフェクトな意思決定』はシリーズ最新刊。