賃金に対する抑制的な圧力は、当面のマクロ政策目標であるデフレ脱却に逆行している。安定的な物価上昇には、賃金上昇の継続が不可欠だが、その実現のためには、デフレギャップを埋めて、全般的な人手不足の状態をキープするしかない。

一般的にはトップの報酬は
「組織目的」で決めるべき

 組織のトップの報酬額の決定方法について、一般的にこれで良しとされる方法はないように見える。あえて一般化しようとするなら、組織の目的に適うかどうかだろう。

 例えば、小池都知事の場合、自らの報酬削減が知事の求心力につながったり、都政の引き締めにつながったりするなら、彼女の「目的」(恐らくは、正しい目的だ)に適うことになる。

 企業の場合は、建前も本音も錯綜している。

 建前として、企業は、社会的存在としては、たとえば「付加価値」を最大化すべきだろうし、株式会社であることを強調するなら「株主利益」の最大化を目指すべきだ。現実に取るべき行動、組織体制、そして報酬体系について、両者の価値観は一致する場面もあるし、しない場面もある。

 ここで、両者をどうバランスさせるのがいいかという、より高次元の一般論は存在しない。トップの報酬は、組織ごとに、時には状況によって、都度都度、組織目的を明確化して決めることになるだろう。正当化する側も、批判する側も、何とでも言える状況だ。

 例えば、個人の能力に対する評価と、社員の感情とを考えると、組織がパフォーマンスを最大限に発揮する上では、日本企業のサラリーマン社長の報酬は、そろそろ頭打ちでいいのではないかと思う。しかし、先に述べたように、まだその気配はない。

余談だが、都議会議員はいい商売だ

 ところで、話が前後して恐縮だが、それにしても、年収約1700万円で、一人当たり毎月60万円の政務活動費があるというのだから、職業として都議会議員は恵まれている。若くても、あるいは、相当に高齢であっても、選挙に勝つだけで、大企業の部長クラスくらいの報酬が手に入る。

 リスクやコストも考える必要があろうが、地方議員は、なかなか魅力的な職業選択プランかもしれない、と考えさせる。

 東京都民の一人として、都議諸氏には報酬に見合う「大活躍」を期待したい。