1日中「宿題早くやりなさい!」「早くお風呂に入りなさい!」「早く明日の準備しなさい!」と子どもを急かし続けていていやになる……そう感じている人は少なくないでしょう。早くやらないと困るとわかっているのに、子どもはなぜやらないの?そんな親の素朴な疑問に答えているのが『AERA with Kids 秋号』(朝日新聞出版)。さらに、親がうるさく急かさなくても子どもが動くさまざまな方法を紹介しています。

*  *  *

「あとでやる~」は決してうそではなかった!? 子どもを動かすために必要な親の「技」とは?(※イメージ写真)

「早くしなさい!」と言うと「わかってるよ~」「あとでやる~」というのは子どもの定番の返事。親はこの返事についイラッとしてしまいますが、教育評論家の親野智可等先生は、子どもをこう弁護します。

「子ども自身は、宿題も学校の準備も習い事の練習も、一応やるつもりなんです。だから親からの催促に『わかってるよ~』と返事をするのです。けれど、大人のような時間感覚が子どもにはない。学校から帰ってから翌日の登校まで、漠然と長~い時間があるように感じています。『あとでやる~』という言葉にうそはなく、あとでやる時間がちゃんとあると子どもは本気で思っているのです」

 では、子どもの時間感覚とはどんなものなのでしょうか? 実はこの時間感覚にこそ、親が「早くしなさい!」と言っても子どもが動かない理由があるのです。

【1】放課後から翌朝登校までの間にいくらでも時間があると思っている

 大人のような「寝るまでに3時間しかない」といった時間感覚が子どもにはありません。次の朝までには長~い時間があると思っているのです。これは低学年だけでなく、中学受験を控えた高学年も同じこと。

 プロ家庭教師の安浪京子先生は、こう言います。

「親御さんが『受験まであと半年もないのよ!』と言ったところで子どもにはまるでピンと来ていない……ということがよくあります。子どもは時間は無限にあると思っているのです。たとえば、年間カレンダーを用意し、終わった日をマーカーで消していくと、『あとこれだけしかないんだ!』と子どもは目で見て確認することができます。毎日の勉強も同じ。1週間の時間割を作って、『塾の宿題をやる時間はこれだけしかない』といったことが目で見てわかるようにすることが大切です」