「サンメンバーズ会員向け」と限定的だが、エクシブ鳥羽の利用も可能

 景気がいいわけでもないのに、会員制リゾートホテル市場が活気づいてきた。最大手のリゾートトラスト(「エクシブ」などを運営)の今年4~9月期決算は、売上高が前年同期比18.6%増、営業利益は同130%増の増収増益となった。

 好業績の主な要因は、新施設のオープンだが、それだけではない。シニア層をターゲットにした新たな商品が受けているのだ。

 「サンメンバーズ フレックスクラブ」という期間限定のリゾート会員権がそれだ。20年間の期間限定で、入会金約100万円で年間25泊分、宿泊することができる。もちろん宿泊のたびに利用料がかかるが、正規の「エクシブ」の会員権なら入会だけで1000万円以上かかるから破格といえる。

 この期間限定の会員権の売り上げは半年で2億円、会員数も200人に上る。「鳥羽などの一部のエクシブには宿泊できる」(幹部)というお得感も受けている。

 もともと同社の顧客の中心は中小企業オーナー。シニア層については、高齢による健康リスクなどで敬遠されがちだったが、期間限定にする代わりに値段を引き下げて、入会しやすくした。

 同様に15年の期限付きの会員権の販売に力を入れているのがリロ・ホールディング傘下のリロ・バケーションズだ。ポイントを事前購入して宿泊に使う仕組みでシニア向けは200万円から(ポイントは50)と低めに設定。本人がいない場合でもポイントは使えるうえ、相続や転売も可能にしたことで販売は好調という。

 懐に余裕があるシニア層を今後どう取り込むのか、リゾート会員権ビジネスは知恵の絞り合いになりそうだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 大坪稚子)

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