「西南戦争の匂いが残る風景を…」戦後15年の“軍都・熊本”再現で工夫したポイント〈ばけばけ第96回〉『ばけばけ』第96回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、毎日レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」「誰かと話したくなる」連載です。本日は、第96回(2026年2月16日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

熊本だったら辛子レンコン?

 松江から熊本へ――。第20週「アンタ、ガタ、ドコサ。」(演出:小林直毅)のはじまりはこれまでの回想。

 ヘブン(トミー・バストウ)が日本に来て、トキ(高石あかり、「高」の表記は、正確には「はしごだか」)と出会い、女中と主人からはじまって夫婦になった。ところがトキの洋妾疑惑が町中に広がり、好奇の目から逃れるために、松江から熊本に旅立つ。

 明治25年(1892年)、熊本。

「さよならさよなら」と見送った蛇と蛙(渡辺江里子と木村美穂)も熊本に移住していた。

 トキが熊本に来て3カ月ほどがたった。

 3カ月もたったけれど、熊本でレンコンといえば辛子(からし)レンコン(穴に黄色いからしが詰まっているもの)で、ふつうのレンコンではないということで一悶着(ひともんちゃく)。

 3カ月もたっていまそれ? と思うと、熊本ではトーストにコーヒーという洋食が続き、洋食が苦手な松野家の人々が、新たに雇った女中のクマ(夏目透羽)に和食を用意してもらった。そのためいまさらレンコン問題が勃発したのだ。

 クマと司之介(岡部たかし)がレンコンに辛子を必ず「詰める」「詰めません」「詰める」「詰めません」とやりあっている。司之介とこういうくだらない(いい意味です)会話を交わせるということはクマもなかなかのツワモノであろう。

 この家には、錦織(吉沢亮)の弟・丈(杉田雷麟)と正木(日高由起刀)が書生として同居している。『虎に翼』でヒロイン寅子(伊藤沙莉)の家に居候していた優三(仲野太賀)のようなものである。昔――大家族時代は居候という存在があったが、核家族化してからは見かけなくなった。

 レンコンだけでだらだらと話が続くなか、トキは洋食でもしじみ汁を飲んでいて、久しぶりに「あー」ネタも。

 朝食コント5分で、主題歌へ――。今日の歌声はのんきに響いた。

「のたれ死ぬかもしれないね」という歌詞はもはや空疎である。松野家はのたれ死にしそうな感じではない。だが、ほんとうにそうだろうか。