祭り以外で県民が盛り上がるのが、「高校の運動会」と「同窓会」だ。「高校の運動会は3年の夏まで準備で気合を入れ過ぎて、受験勉強を始めるのが遅くなり、浪人する人が続出する」(福岡市出身の女性)ほど。高校の同窓会についても数ある伝統校では年に1回、かなり大規模な同窓会を開き、何百人という同窓生が集結する。

 先輩と後輩の関係は厳しく、「高校に入るとまず歌わされるのが、校歌ではなく応援歌。これを先輩の厳しい視線の下で練習させられる。同窓会でも歌う」(福岡高校出身の女性)、「同窓会の準備でも先輩の指示は絶対」(北九州市出身の女性)で、年を重ねても上下関係は崩れない。

 こういう熱い性格、先輩・後輩の絶対的な関係性が反映されるのが飲み会。福岡は非常にコンパクトな街で、「天神などの飲食街で飲んでいてもタクシーの深夜料金でも2000円以内で帰れる人が約8割」(福岡市出身の男性)だという。飲むのが好きな人には朗報にも思えるが、だからこそ厄介な問題がある。

福岡県民に終電は関係ない。多くの人の自宅は中心地からタクシーで2000円圏内なので安心して飲める

 「終電が帰る理由にならない」(福岡市出身の女性)

 「帰ろうとすると先輩や上司から、『暗いうちに帰るんか!』と怒鳴られる」(春日市出身の男性)

 こんな洗礼が待ち受けていることは、移住する前に覚えておきたい。いずれにしても、人が集まって、みんなで盛り上がるのが好きな県民なのだ。

「みんなで盛り上げる」という福岡の県民性を象徴するような事例がある。それが明太子の商品化だ。もともと明太子は福岡市の「ふくや」が開発した商品だったが、創業者は商標登録や特許を取得せず、地元同業者にもそのノウハウを公開。それによって、福岡=明太子という市場が出来上がり、活性化につながった。現代風にいえば、まさに「オープンイノベーション」だろう。

 このオープンイノベーションの動きは北九州市にもあった。小倉にある理髪店の店主がおしゃれな“ある髪型”を発明した。それが「パンチパーマ」だった。店主はそのノウハウを独占せず、周辺の理髪店に教えたことによって、長髪ブームで売上が低迷していた理髪業界のその後の活性化につながったと言われている。

 昔からみんなで集まってワイワイするのが大好き。協力して街を盛り上げるのが当たり前。そんな土地柄だからこそ、福岡は人口減少時代の今でも企業や人が集まり続けるのかもしれない。

(ダイヤモンド・オンライン編集部 林恭子)